東京都世田谷区 S邸
家族の会話が増える家
家を建てようと思った経緯は?
この町には子供が生まれたときから住んでいますが、「地域での見守り」を大事にする昔ながらの地域のあり方に惹かれ、以前から「家を持つならこの界隈で」と決めていました。
土地の購入について深く勉強をしていたわけではありませんでしたが、風致地区に指定された緑豊かな住宅街に土地を見つけたとき、購入を即決してしまいました。
土地は雰囲気のある坂道の途中にあり、周囲にも素敵な家が多く、「家を建てる」という夢が大きく膨らみました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
最初は不動産会社に紹介されたハウスメーカーと話をしていましたが、建材や備品の選択肢に自由がなく、提案力に限界を感じました。
友人の建築家に相談をしたところ「きっとあなたたちに合う建築家がいるはずだから、頑張って探してみて。そうすれば後がとても楽になるよ」とアドバイスを受けました。
いつもお邪魔する友人宅も、建築家と建てたこだわりの家だったことを思い出し、「理想の家を建てるために建築家を探そう」と夫婦の意見が一致しました。
建築家・本間至さんには どんなご希望を伝えたのですか?
最初にお願いしたのは、「明るく風通しが良く、家族の気配が感じられる家を」ということでした。そして、まだ子供たちが小さいこともあって、安全や防犯を念頭において話し合いを重ねていきました。
打合せの中で特に記憶に残っているのが、玄関の位置を道路から見えるように間取りを変えていただいたことです。道路からの目線があることで、小学生の子供でも安心して玄関の鍵を開けることができます。
地下室はドライエリアの天井をグレーチングで覆っていただきました。採光をとりつつ、外からの侵入を心配せずに済むので、夏場は窓を開け放して寝ることができます。
また、木のぬくもりが好きなので、室内、外観共にふんだんに木を使いました。特に外壁についてはメンテナンスに配慮しながら何度も話し合いを重ね、私たちの好みの外観を実現することができました。
いつ見ても「美しい家だな」と感慨にふけってしまいます。
実際に生活していかがでしょうか?
家の真ん中を貫く螺旋階段は、吹き抜けの役割を果たしながら、どの階にいても家族の気配が伝わってきます。
我が家は2階がリビングダイニングですが、大きなガラスからは光がよく入り、近くを流れる川からの風が感じられる心地良い空間です。螺旋階段を挟んだガラス越しに向こう側が見えるため、想像していた以上に広く感じます。食事中にテレビが見られないことで、家族の会話が増えたのは喜ばしい誤算でした。
当初は地下室の湿気を心配していましたが、本間さんが工夫を凝らして下さったおかげで、2つのドライエリアから光と風が入り、静かで快適な空間です。地下室には大きな本棚があり、気が付くと子供たちが座り込んで熱心に本を読んでいます。
暮らして1年強が経ちますが、今も本間さんの細かな配慮に気付かされることがあります。例えば、2方向からアクセスできる台所は、「導線が大変良い」と訪れる友人たちからも好評です。特に年々暑くなっている夏場には、コンロの熱が2方向から抜け、生活しやすく助かっています。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
たまたまインターネットで見つけて連絡をとったのが最初でした。ハウスメーカーとの話し合いに行き詰まりを感じて途方に暮れていた私たちでしたが、システムや役割について分かりやすく説明してもらい、豊富な資料をもとに大変的確なアドバイスをいただきました。
初めて家を建てる人にとって、直接連絡を取りづらい建築家とのマッチングは、大変ありがたいサービスだと思いました。初めての建築家との面談では不安もありましたが、コーディネータの巧みなリードで聞いてみたかったことをきちんと確認することができ、極めて私どもに近い価値観の建築家を選ぶことができました。
これから建築家と家を建てる方に一言
自分たちの考えやテイスト、予算に見合った建築家を選ぶことは容易ではありませんが、信頼できる方とタッグを組むことができれば、家づくりを楽しめるのではないかと思います。
よく「3回建てないと満足できる家は建てられない」という話を聞きますが、私たちはおかげ様で、初めてでも十分満足な家を建てることができました。
建物について
- 所在地
- 東京都世田谷区
- 設計
- (有)ブライシュティフト
- 施工会社
- (株)渡辺富工務店
- 竣工日
- 2012年6月
- 敷地面積
- 118.29平米(35.78坪)
- 延床面積
- 126.02平米(38.12坪)
- 撮影
- 大沢誠一