山梨県 F邸
花々と共に暮らす家
家を建てようと思った経緯は?
書物やTVなどから情報を集めながら、また、観光旅行やホームステイなどしながら定年退職後はどこに住もうかと考えていました。
海外も含めていろいろ考えましたが、最終的には日本国内に住むことにしました。
次に、戸建か集合住宅かで迷っていました。家族は都心のマンション住まいを勧めましたが、どちらも一長一短です。
結局、山奥の両親のそばで園芸を楽しめそうな土地に戸建を持つことで落ち着いて、いよいよ土地を買って家を建てることになりました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
いいえ。知り合いの大工さんに建ててもらう以外には、家を手に入れる方法というのを、あまりよく知りませんでした。
最初は、ハウスメーカーで、小さくても気に入った家を手頃な値段で買うのが良いかと思って、たくさんパンフレットを取り寄せて見ましたが、帯に短し…で。
そんな時、偶然ザ・ハウス主催のセミナーに行くチャンスがありました。
何回かセミナーに通っているうちに、岸本先生のお話を聞く機会があり「あっ、この先生にお願いしようかな」ということを感じました。
それに加えて、私のような一人暮らしの家を建てるなら、建築家に依頼するのが良いという友人の勧めもあり、建築家に依頼することになりました。
建築家・岸本和彦さんにはどんなご希望を伝えたのですか?
笑われそうなくらい…というよりは、呆れられそうなぐらい、たくさんの細かいことを30個ほどお伝えしました。
細かいことと言っても、ハウスメーカーのパンフレットにあるような、間取りや材質、設備などといったことではなく、「頭上からの白い光が欲しい」とか「カーテンや戸をいちいち開け閉めしなくて済むように…」といった、イメージの話や、過ごし方、暮らし方の要望が中心でした。
でも、一方で建築家のアイディア溢れる家に住むことを楽しめそうな気もしましたので、たくさん伝えた細かいことは、実はひとつも実現しなくても構わないということもお伝えしました。
実際に生活していかがでしょうか?
「てんこ盛りだよ」とおっしゃられたくらい、たくさんの細かいことがほぼ全て実現されただけでなく、考えてもみなかった、とても素敵な家をつくってくださったのです。日々、刻々と変わる光と影のグラデーションがとても美しい部屋を楽しんで、毎日新しい発見に驚いています。
家の外観が珍しいのか、通行人が足を止め、車に乗っていた人も、自転車の人も、わざわざ降りて来て、褒めたりカメラを向けたりしています。
部屋に招いた人は、外側とは違った内側の美しさに二度目の驚きの声を上げ、また褒めてくださいます。
小さいけれども、無駄もなく、外の景色を切り取る窓の位置、形、大きさも素敵で、必要なものが過不足なく揃って、暮らしやすく美しい家です。本当にどこから見ても美しいです。大切にしたいと思います。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
セミナーで、岸本先生にお願いしたいという気持ちがすでにありましたので、わざわざ遠くの知らない町のザ・ハウスに行くのは、実は気が進みませんでした。
土地や予算等の条件が最低レベルに達していなくて、断られてしまうんじゃないかという漠然とした不安もありました。
でも、明るく落ち着いた部屋で、てきぱきと説明してくださったり、本を見せてくださったりして、とても安心できました。
何よりも、セミナーを主催して無料でお茶までつけて、様々な家づくりの情報をご提供くださったことに感謝しています。
もしも、あのセミナーが無かったら、今の私の家は手に入らなかったと思います。
これから建築家と家を建てる方に一言
ザ・ハウスで、建築家にお目にかかる機会をいただいてから家が出来上がるまでに、色々な事情が重なってしまって、予想以上に長期間かかってしまいました。
建築家に大変ご迷惑をおかけしてしまったことのひとつに、畑地から宅地への地目変更についての農業委員会関連の諸手続きの問題がありました。
自分の土地なのに、自分の思うように使えない不便さが日本の法律にはあるのですね。
もうひとつ、家族の生活環境の変化の問題もありました。途中で父が倒れて、車いすの身になりましたので、車いす用の通路が必要になりました。
最終的には、岸本先生が土地と費用の難しい条件をクリアして、素敵な通路を2本もつくってくださったのですが、自分も含めて家族の生活スタイルの変化も頭に入れておいた方が良さそうですね。
私の場合は、そんな事情もあり、とても小さな家なのに3年間もかかってしまいました。時間に余裕を持って計画することも重要だと思います。
建物について
- 所在地
- 山梨県
- 設計
- acaa
- 施工会社
- 三昭建設(株)
- 竣工日
- 2012年3月
- 敷地面積
- 408.74平米(123.64坪)
- 延床面積
- 59.36平米(17.96坪)
- 撮影
- 上田 宏