神奈川県川崎市 S邸
夫婦の会話から生まれた家
家を建てようと思った経緯は?
「家を建てよう」というよりは、むしろ「自分の家が欲しいな~」とは常に思っていました。また二人ともマンションで暮らした経験がないため、「自分の家=一軒家」と自然に考えていました。
とはいえ、建売の広告を見ても心の底から欲しいとは思えませんでした。
土地を購入して家を建てるのも金銭的にハードルが高い気がしていましたし、実家に帰るにも、仕事に行くにも便が良いこの場を離れたくない想いの方が強かったので、何が何でもどこかに土地を探して家を建てるんだ!という感じではありませんでした。
正直、このままでもしばらくはいいかな~と思っていたので、住んでいたアパートの更新手続きの時に、不動産屋さんに「この辺の土地の話があったら教えてください」と軽く話した程度でした。
ところが、その不動産屋さんから、土地のお話が舞い込んできたのです。これが全ての始まりです。
その後は「思い立った時が好機」で、それまでの漠然とした想いから、「家を建てよう!」、「自分の家を作りたい!」と気持ちが盛り上がってきました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
私(夫)は大学で建築を学び、建設業の中で生計を立てているため、学生時代からの付き合いで「建築家」と呼ばれる方々とも、ハウスメーカーで設計をしている方々とも、どちらも私にとっては身近な存在でした。
だからこそ、双方の特徴を私なりに理解していました。
そして、住宅設計を依頼するにあたって、施主の立場で「共に考え抜き、納得できる家」を創るパートナーは、「建築家(住宅作家)」より秀でた存在はいないと確信していたので、他の選択肢は最初から考えていませんでした。
建築家・伊原孝則さんにはどんなご希望を伝えたのですか?
「どんな住み方をしたいのか?」、「どんなこだわりを持っているのか」を伝えるために、空間構成のイメージと、こだわりをメモにして渡しました。
住まいに関する意識や理想は、夫婦で同じ所もあれば、違う所もあります。
だからメモは、まず夫が「家に対する考え方」や「それまでの暮らし方」、「家を作る際の希望」を書き、それに対して私(妻)がメモを追記する形をとりました。
例えば「靴が多い」と夫が書いたメモに対して、私が「そんなに多くはないと思う」とか。
「開放的な空間が希望」というメモに対して、「そんなに開放的でも困る」など。
そうすることで、二人の考え方が違っている部分や性格も知っていただこうと思いました。
考え方が食い違う点や微妙な感覚の違いに関しては、設計の進捗に合わせて、FEDL様を含めて皆で相談して決めていくことにしました。
実際に生活していかがでしょうか?
もちろん「快適」ですし、本当に日々の暮らしが楽しいです。でも「快適」という言葉より、「しっくりする」とか「愛おしい」とか・・・なんだか常に、この家にふんわり納まっている時間がとても大切に思える日々です。
一人でいても、随所に皆さんと相談し、悩んだ思い出があるからか、家族やFEDLの皆さん、ザ・ハウスの担当者の方や工務店の方々に常に守られている安心感があるのが、今までの生活とは大きく違うところのような気がします。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
(夫)家を建てる時に大事なことは、建築家の作風が「合う、合わない」というのではなく、施主と建築家自身が「合う、合わない」だと実感しました。
最良のパートナーを探すには、「マッチングサービス」がとても有効だったと今感じています。
(妻)初めよければ半ば成功という諺があります。
今回、私たちが手に入れたこの素晴らしい空間は、ザ・ハウスという素晴らしいアドバイザーと出会ったその時点から、きっとほぼ約束されていたのだと思います。
短時間の面接で、私たちの性格や感覚や好みを感じ取り、金額的な問題や作風だけでない的確なアドバイスを頂けたことに本当に感謝していますし、マッチングサービスを受けて良かったと思います。
作品集からだけでは分からない建築家との相性のようなものをきちんと判断していただける第三者であるザ・ハウスさんのサービスは、とても良いと思います。
これから建築家と家を建てる方に一言
なかなかイメージをうまく伝えられない時に、建売でも良かったかな?と思ったことがあります。
インテリアでも自分の好みの空間は作れると・・・「空間がイメージできない」、「色だって塗ってみないと分からない」だったら建売でも・・・と。
でも、そんな不安な気持ちも、きちんと建築家の方に伝えることが大切だと思いました。
受身では後で後悔しますし、分からないことやイメージできないことは、きちんと伝えることが大切です。
家を建てる上では、建築家はパートナー以上の存在です。私たち家族の住まい方を一緒に考え、作り上げていくわけですから、家族とほぼ同じ目線になっていただく存在。
打合せの時は、盛り上がってあまり気にならなかったことが、家に帰ってしばらくしてから気になってくることもあります。
それでも、やはり隠すことなく建築家の方と向き合えば、「納得の家づくり」ができるのだと思いました。
それから、家づくりとは関係ない話も随分したと記憶しています。
好きなもの。嫌いなもの。最近のニュースについて考えていること。グルメの話など・・・そういう日常の話をする中で、言葉ではうまく表現できないニュアンスを建築家の方が汲んでくれたように思います。
もちろん家族でもじっくり話すことは大切ですよね。ただし、ある程度役割分担して任せるところは相手に任せてしまった方がスムーズにいく部分もあると思います。
楽しかったことも大変だったことも、色々あればあるほど、スッポリと気持ちよく包まれる空間になるような気がします。
建物について
- 所在地
- 神奈川県川崎市
- 設計
- ファーイースト・デザイン・ラボ
- 施工会社
- 沼田工業(株)
- 竣工日
- 2010年12月
- 敷地面積
- 97.68平米(29.55坪)
- 延床面積
- 85.87平米(25.98坪)
- 撮影
- 平剛風アトリエ