東京都品川区 M邸
普通じゃないけど奇抜でない家
家を建てようと思った経緯は?
今まで住んでいた家は、1つの建物の中に3世帯が住めるようになっていました。元々は、両親が一番大きな部分に住み、2世帯を賃貸として使っていました。
母が他界した後は、父と母が住んでいた部分に私どもが移り、賃貸の1戸に父が移りましたが、その父も4年前に他界しました。父と母の二人で住んでいた部分を私どもが使っていたので、手狭だったことが家を建てようと思ったそもそものきっかけです。
建てて20年弱しか経っていない家だったので、非常にもったいなかったのですが、2×4工法の家だったので、私どもが引っ越してくるときのリフォームで壁が取り払えず、今以上に広く使うには無理があるということもわかっていました。ということで、建替えるしかないということになりました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
ありきたりの家は欲しくなかったので、漠然と建築家の方にお願いしたいと考えていました。
ザ・ハウスさんに伺う前に住宅展示場にも足を運びました。家というものを具現化して見ることができた、非常に楽しい機会でした。
しかし、展示場では営業マンの顔は見えても設計者の顔が見えず、物足りなさを感じたのも事実です。皮肉なことに、ハウスメーカーの素晴らしい家を見るたびに、建築家に依頼しようという思いは強くなっていきました。
建築家・山嵜雅雄さんにはどんなご希望を伝えたのですか?
住宅密集地のため、プライバシーの確保をしながらも明るく、風通しが良く、さらに、オープンな空間(デッキやお風呂)が欲しいということをお伝えしました。
また、ローン返済のため、1戸は賃貸も併設して、普通じゃないけど奇抜でない家とお伝えしました。
実際に生活していかがでしょうか?
明るくて本当に気持ちのいい家です。どこにいても家族の気配を感じながら、自分の世界に没頭できます。一人ひとりの居場所もあるし、全員で集まることもできる、快適な家となりました。
友人が遊びに来ても長時間くつろいでいきますし、間を置かずに遊びに来ます。家族だけでなく、誰にでも快適なのでしょう。住んでいる私どもが心地いいと思っていると、友人にも伝わるのかもしれません。
光熱費は以前よりかかるようになりましたが、心地よさの代償としては仕方がないかなと思っています。(最初の電気代が予想外の金額を請求され、その節約のために、この冬は空調を制限しました。なので、寒かったです。東京電力に調査に来てもらいましたが、それ以来そんな請求代金にはなっていませんし、原因も不明です。その後は、以前より家が広くなった分として、妥当な金額を支払っています)
外観も我が家ながら「カッコイイなぁ」と思います。友人から「こんな家から髪の毛ぼさぼさのジャージ姿の人が出てきたら幻滅する」と言われ、そのうち自分改造に取り組まなければと思っています。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
家に対する夢を上手に言葉で表現できない我々の気持ちを辛抱強く聞き出し、家そのものの好みだけではなく、相性もぴったり合う人をピックアップしてくださったと思います。
途中で担当者の方が都合により代わられましたが、どの人も頼りがいのある方でした。
お酒好きの我々に理解しやすいようにと、建築家の性格をお酒で表現してくださった担当者の方もいらっしゃいました。微妙なキャラクターが伝わってきました。
これから建築家と家を建てる方に一言
建築家との意地の張り合いを楽しんでください。我々は自分たちの意見は主張しましたが、山嵜さんに全幅の信頼を置いていたので、意見が食い違ったときに、身を引くのが早過ぎた部分が多かったかなと思っています。
相手は建築のプロですから、プロの反対を押し切って自分たちの意見を押し通すより家のデキが良かったとは思いますが、せっかくですから、もっと自分たちの意見を通して、不具合を体験してみるのもおもしろかったかなと思っているからです。
また、現実的な話になりますが、ゆとりのある資金計画を!私たちは前の家を壊してしまってから思った以上に地盤改良費がかかることが判明し、山嵜さんと施工業者の辰さんに多大なご協力を頂き、工事費の減額をしたのですが、それでも現在は耐乏生活です。
どこにどんな資金が必要か、何が起こるかわかりませんので、余裕をもって臨まれるといいと思います。
建物について
- 所在地
- 東京都品川区
- 設計
- 山嵜雅雄建築研究室
- 施工会社
- (株)辰
- 竣工日
- 2007年2月
- 敷地面積
- 97.03平米(29.35坪)
- 延床面積
- 177.73平米(53.76坪)
- 撮影
- 平井広行