※この記事は、実際にザ・ハウスに寄せられたご相談を再構成したものです。
◆ケース
建築家と家づくりを進行中だったのですが、ここにきて建築家との設計契約を解約したいと考えています。
原因は工務店から出てきた請負金額で、数社と見積り調整をしても金額が合わず建築家からは「予算を追加して欲しい」と言われたためです。
これまで建築家を信頼して設計をお願いしてきましたし、簡単に追加と言われても出せるようなお金もないので(当初から言っていたのに)、建築家の方に外れて貰い、これ以降は工務店にお願いして何とか予算内に収めて貰って家を完成させたいと伝えました。しかし、建築家からは解約するならこれまでの設計料として7割は支払って欲しいと言われました。
金額が合わなかったのは建築家の責任だと思うのですが、契約を解約するのに7割もの設計料を払わなくてはいけないのでしょうか。
◆解説
設計を建築家に依頼するにあたっては、デザイン的な部分だけを見て選ぶのではなく、今までにどの位の住宅実績があり、どんな建物がどの位の予算で建てられているのかということを、施主としてもきちんと把握された上で依頼することが大切です。
今回のケースは建築家の経験が浅く、コスト感覚の力量が十分でなかったことが原因かもしれませんが、施主側も設計者を理解した上で設計監理契約を結んでいる前提になりますので、解約料を一切支払わなくても良いということはなく、それまでに費やした時間や作業量等の対価を建築家から請求されることになります。
逆に消費者契約法では、契約があったとしても出来高(解約時までの対価)以上の請求については戒められており、作業量等に見合わない請求は突っぱねることも可能です。建築家側は設計図面の著作権を気にするところだと思いますが、見積りが合わなかったことによる工期の遅れやコストに対する損害賠償と引き換えに、交渉してみてはいかがでしょうか。
一方で、せっかく長い時間を掛けて打合せをしてこられた訳ですから、解約を決める前に、できる限り大きな変更をせずに減額して建てることができないかを、もう一度工務店を交えて建築家と話し合うことも建設的な解決方法です。