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図面と違う仕上がりに

この記事は、実際にザ・ハウスに寄せられたご相談を再構成したものです。

◆ケース

建築家に設計・監理をお願いしました。工事については相見積りの末、結局コストが合う工務店が1社しかなかったため、その工務店に依頼することになりました。

工事は途中まで問題なく進んでいたのですが、内装工事の段階で当初から予定していた音響配線を壁内に収める作業が行われずに内装壁が仕上がったことが発覚しました。

建築家で設計をお願いしても、こういったことはよくあるケースなのでしょうか。また、すでに仕上がった工事を希望していた通りに、無償でやり直しを求めることはできるのでしょうか。

◆解説

設計の図面を書くことだけが建築家の仕事だと思われている方が多いようですが、建築家には設計と同じくらい重要な「監理」という仕事があります。

「監理」とは施主と打合せをした図面通りに工事が行われているか、工事の進み具合はどうか、また図面の中で表わしきれないことを説明するなど、実際にその現場に行って状況を確認し、工務店の現場監督や担当者に指示をするという業務です。

この監理業務をするのとしないのとでは建物の出来が大きく変わってきます。工事での大事なポイントを理解し、現場に定期的に足を運ぶしっかりした建築家であれば、まずこのような状況になることは考えにくいと思われます。

今回のことは、建築家と工務店がコミュニケーションを取っていれば防げたことです。建築家は現場に足を運ばず監理を怠ったことについて、また、工務店は分からない点を建築家に確認をせずに工事を進めてしまったことについて、それぞれ責任があると考えられますので、建築家と工務店に対して工事のやり直しやその費用負担を求めることができると考えられます。

ただし、このようなケースでは建築家と工務店の間で責任のなすりつけになるケースが多いようです。その場合は、とりあえず建築家か工務店に費用を負担してもらい、両者の負担割合に関しては両者に任せてしまうのが得策です。