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隣家への配慮を怠った設計

この記事は、実際にザ・ハウスに寄せられたご相談を再構成したものです。

◆ケース

建替えになるのですが、古くからのお付き合いがあるので新築しても近隣にはご迷惑をおかけしないように気をつけていました。建築家には最優先の要望として、一番最初にそのことを伝えました。

しかし、図面ができあがって説明にいったところ隣人に激怒されました。隣地との距離や日照に対する配慮が不足している、とのことでした。

建築家の判断で図面を書き直すことになったのですが、建築家から追加の設計料を請求されました。最初から隣人に気配りをしてもらいたいと要望していたにも関わらず、建築家が配慮不足の提案をしたために設計をやり直すことになった訳で、私が追加の設計料を払うことが納得できません。

◆解説

家づくりで一番あいまいで難しい問題が隣家との関係です。昔からのお付き合いということで、一番に配慮したいというお気持ちはとても理解できます。

しかし、その指示だけでは通常は「建て主の権利を守った上で、可能な限り配慮する」というように解釈されます。

設計者の第一義は建て主の利益を守ることです。その前提での隣家への配慮となると、隣地境界との距離を民法に従って開ける、騒音の少ない工法を取る、工事の日程を配慮する、事前説明を十分に行うなどが考えられますが、これ以上の隣家への配慮は建て主の利益との引き換えになります。

例えば、法規で定められている以上に余裕を持って境界との距離を広くとったり、日照への配慮をすればするほど、建てられる建物の広さは確保できず、その家自体の計画がままならなくなってしまう可能性があります。

そうならないためには、具体的な建て主の指示が必要であり、それなくしては設計者は何も決められません。

このケースは、もし相談者が具体的な隣家対策の指示を出しておらず、建築家が建築基準法や民法を守った設計をしたのであれば、建築家には責任はありません。したがって設計変更には追加料金を支払う必要があります。