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デザイン優先のつけ?

この記事は、実際にザ・ハウスに寄せられたご相談を再構成したものです。

◆ケース

完成して約1年ですが雨漏りに悩んでいます。雨漏りがしている場所は玄関ポーチの屋根です。今のところ工務店が補修をしてくれ、何とか塞がっています。

工務店に話を聞いたところ、「ポーチは雨漏りする可能性があった」とのことでした。さらに詳しく話を聞くと、工事前に建築家と「(工務店)この工事は難しい」「(建築家)このデザインでないといけない、工事できるはずだ」というやり取りがあったようです。建て主の私はこの話を知りませんでした。

建物全体のデザインには満足していますが、雨漏りをしているポーチ部分のデザインに対し、私から要望を出した記憶はなく、雨漏りをする危険があるのに変更をしなかったことが納得できません(一言相談してくれていたら納得できますが)。

この件について、建築家から謝罪の言葉や説明がないのですが建築家には責任はないのでしょうか?工務店が誠実に対応してくれているのが救いです。

◆解説

相談者のご要望どおり、雨漏りがする可能性があるのだったら建築家がそのリスクを建て主に話すべきですし、工務店もその懸念を知っていたのですから、工務店からも建て主に話しておくべきです。

建築家が設計・監理をする場合、何でも建築家の言うことを聞かなければいけないと勘違いしている工務店が少なくないようですが、建築家は建て主が了承した設計内容に対して工務店を監理するのであり、建て主が了承していない設計内容の工事を強要されることはありません。

その意味で、建築家・工務店双方に建て主への報告義務を怠った過失が認められます。

しかし、このケースの実際の内容に対しての評価は難しいところです。

まず、工務店のみからお話を伺ったとのことですが、多くの人が関係する注文住宅の工事では、何か問題が起こると他者に責任をかぶせようとする傾向があり、1者からの説明で全体像を決めてしまうことは早計です。

建築家にしてみると、同様の工事を雨漏りなく行った実績があり、それを根拠に設計を決めた可能性があります。つまり、工務店の技術力が足りなかったために雨漏りが起こったという可能性です。

もちろん、工務店が主張する通り、建築家がデザインを優先するあまり、無理を承知で先走った可能性も否定できません。

いずれにしても、建て主への報告義務違反に対する責任は間違いなく建築家・工務店双方にありますが、実際の責任についてはもう少し関係者から話を聞き、総合的に判断をする必要があります。

このようなトラブルを防ぐためには、工務店とのコミュニケーションを建築家任せにせず、建て主も積極的に工務店と交流を持ち、工務店から何でも気軽に建て主に話せるような雰囲気づくりをすることです。

ただし、工務店に対する正式な指示を建築家を通さずにしてしまうと、これはこれで計画がおかしくなってしまいますので、その場合は必ず建築家に対して指示を出してください。