鉄骨造は、柱、梁、筋かい等を鋼(ハガネ)で造った構造です。
鋼とは鉄に微量の炭素を加えたもので、硬さとねばり強さの両方を持っています。揺れやすく、音が響きやすいといったデメリットもあります。
構造
大きく分けて鉄骨造には重量鉄骨造と軽量鉄骨造があります。
・重量鉄骨造
重量鉄骨造は、厚さ6ミリ以上の鉄骨を主な部材として使い、角型鋼管やH型鋼などを用いて3階建て以上の比較的大きな建物に使われます。
骨組みの構成で分類すると、柱と梁を固く接合して力に対抗(剛接合)して筋交いを不要としたラーメン構造が採用されることがほとんどです。
鉄骨自体が揺れを前提とした建物のため、外壁材はサイディグ・ALCパネル等の揺れに追従する乾式外壁材に限定されます。
・軽量鉄骨造
軽量鉄骨造は、「LGS造」(Light Gauge Steel Structure)とも呼ばれます。一般的な軽量鉄骨造の鋼材の厚さは3ミリ前後で、柱の太さは8センチ前後のものが比較的多く使われます。柱の形は、角形鋼管(断面が箱型のもの)やリップ溝型鋼(C型チャンネル)などの形状があります。
骨組みの構成で分類すると、柱、梁、ブレース(筋交い)で支えるブレース構造がほとんどです。
2階建て以下の住宅に使われることが多く、主に大手ハウスメーカーで採用されている構造です。一般的な工務店や設計事務所ではほとんど採用されません。
軽量鉄骨造の鋼材は高熱に弱く、500度を超えると一気に強度が落ち崩壊するという欠点があります。また、錆びやすい素材のため、耐久性を低下させないようメンテナンスに注意が必要です。
耐震性
鋼は木材に比べて強度が大きく、軽量なため、耐震性も高いといえます。ただし、部材の接合部をつなぐ高力ボルトの締めつけ不足や、溶接の施工不良などがあると、強度が落ちる危険性があります。
他に、細長い材は座屈という脆い壊れ方があるため注意が必要です。
耐久性
耐久性に優れ、条件によって異なりますが、一般的には約35年位で大規模な修繕が必要と言われています。
なお、鋼材は高熱に弱く500度を超えると一気に強度が落ち崩壊するという欠点や錆びやすい素材のため、断熱材で覆うなど耐火処理をしっかりと施すことや防水、防錆処理、結露対策が必要です。
施工性
工場で、長さや仕口(部材の取り合いの部分)を加工して、現場に搬入し組み立てます。使用される鋼材はJIS規格品で、強度や性能といった品質も一定であることが特長です。
重量鉄骨造の場合、現場でクレーンなど重機を使用するため、前面道路が狭い場合や空地がない場合などは搬入や組み立てが難しく、施工できない場合があります。
遮音性
鉄骨造では、木造に比べてやや遮音性が高くなります。
重量鉄骨造では、木造や軽量鉄骨造よりやや遮音性が高くなります。
しかし、双方とも壁がコンクリートでできている鉄筋コンクリート造や、鉄骨鉄筋コンクリート造に比べると、遮音性は劣ります。
断熱性
鉄は熱伝導率が高いので、鉄骨自体が外部の暑さ寒さを内部に伝えてしまうヒートブリッジという現象が起こるため、しっかりした断熱対策が必要です。また、ヒートブリッジが結露の原因となり、内部の鉄骨のサビにも繋がる可能性があるため注意が必要です。
自由度
重量鉄骨造は、柱型が建物内に出るため仕上げやデザイン的なデメリットはありますが、設計の自由度は高いといえます。柱と柱の間隔を木造よりも広げることができるため、大きな開口のある広い空間を設計することが可能で、間仕切りも自由に設けられます。
軽量鉄骨造は、柱型がないためすっきりとした空間が可能ですが、ブレースが入っている耐力壁が必要となるため、自由度に一定の制約がでてきます。
工期
規模や条件によりますが、約6ヶ月程度です。工場での作業割合が多く、工期が比較的短いといえます。
コスト
鉄鋼の国際価格に影響を受けやすい工法ですが、通常は在来工法の約1.1~1.2倍程度で、重量鉄骨造に比べて軽量鉄骨造のほうが安価です。
増改築のしやすさ
柱と梁を動かさなければ、増改築しやすい工法です。