\ プロの話を聞いてみよう! /無料で家づくりを相談する

設備配管

住宅において設備とは、ややあいまいな意味に使われています。

電気設備、給水設備、排水設備、衛生設備、空調設備などの建物と一体になって、ある特定の役割を担う構造物のことを指す場合と、キッチン、トイレ、浴室などで使用する便器、給湯器、バスタブ、洗面台、シンクなどの「住宅設備機器」を指す場合があります。

ここでは「住宅設備機器」ではなく、配管や配線の工事が伴う設備についてご説明します。

電気設備

一般住宅では電気を供給するための屋内配線は「単相3線式」が採用されています。

「単相3線式」は、柱状変圧器から100V(ボルト)の3本を引き込み、100Vと200Vが使用できる配線方式を使用します。100Vは電灯、コンセントとして使い、200Vは大型電熱器(IHヒーターや大型のエアコン)などに使います。これらの住宅の屋内配線は、負荷電流を考慮し分電盤から分岐回路を分けて使います。

電気の契約アンペア数と分電盤の回路数は、建物の大きさや家族の人数など一度にどれだけの電気器具を使うかによって決定します。アンペア数を大きくすると度々ブレーカーが切れてしまう心配が無く安心ですが、電気の基本料金も上がりますのでご注意ください。

目安としては家族4人、延床面積約120平米の建物で50A(アンペア)、18回路といわれていますが、まずは現在のお住まいのアンペア数を確認し、新居での生活と比較検討しそれぞれの生活スタイルにあった容量を計画しましょう。契約アンペアは、分電盤についているアンペアブレーカーの色や数字を見るとわかりますのでご確認ください。

(アンペア数は、赤は10A、ピンクは15A、黄は20A、緑は30A、グレイは40A、茶は50A、紫は60A)

ガス設備

ガス設備は、安全性の確保のために指定工事店や液体石油ガス設備士の有資格者でなければ工事を行うことができません。また、ガスの使用開始時にも、建主の立会いのもとガス会社のサービスマンがガス漏れ試験と機器の点火試験を行うことになっています。

敷地内のガス管や建物に組み込まれたガス管は建主の所有となりますが、ガスメーターはガス会社の所有となります。

一戸建てを建てる場合、都市ガスを使用するにはガス本管から敷地内への引き込みが工事が必要です。本管から取出管まではガス会社の負担ですが、敷地境界から建物内までの配管は建主の負担で、費用は10~20万円が相場と言われています。

給水設備

■給水方式

上水の給水方式としては、直結給水方式、高架水槽給水方式、圧力水槽給水方式があります。

一般住宅では水道本管から水道管を引き込み、その水圧力で各蛇口に給水する「直結給水方式」が採用されています。

「直結給水方式」では、2階建てまでの建物であれば直接給水が可能ですが、3階建て以上の建物は受水タンクを設けポンプアップをしなければ給水できないことになっています。しかし、最近では受水槽の管理不十分による衛生上の問題から、水道本管の水圧を上げて3階建までの建物はポンプアップをしなくても直結給水できる地域が拡大してきましたので、3階建の計画時には建築地の水道局にご確認ください。

また、道路に埋設された水道本管から引き込む給水主管の径は、一般住宅では13mmから25mmが多く採用されています。最近の新築住宅の水洗器具は8ヵ所程度設置されていますので、2ヵ所以上を同時に使することを考えますと20mm以上の口径が必要となります。

その他、新築などで新たに水道を設置する場合には、水道工事費用の他に水道を利用するための費用として「水道加入金」を負担しなくてはなりません。費用は水道メーターの口径により設定され、呼び方は各水道局により異なり、水道市納金、水道加入負担金、権利金、局納金、供託金などと言われています。さらに温泉が引かれている場合は温泉権利金が必要となります。

■給湯器

給湯器とはお湯を供給するための加熱機器で、ガスや石油を熱源とする瞬間式と電気を熱源とする貯湯式があります。お湯を使う個所ごとに設置する給湯器(台所やお風呂専用)もありますが、最近では一ヶ所でお湯を作り各蛇口に送るセントラル方式が一般的になりました。

●ガス給湯器

ガス給湯器には都市ガス用とLPガス用があり、貯蔵槽の設置スペースがいらないため、貯湯式の電気給湯器よりスペースを有効に活用できます。ただし、屋外設置用の給湯器は新鮮な空気が不足すると不完全燃焼をおこし、一酸化炭素による中毒や死亡事故、機器の故障につながる可能性がありますので、給湯器の周りを板などで囲ったりしないようにしましょう。

給湯器の給湯能力は号数で表し、1号とは「水温から25℃上昇させたお湯を1分間に1リットルつくり出せる」能力をいいます。たとえば24号なら、水温15℃のときに40℃のお湯を1分間に24リットル出すことができるということになります。16号、20号、24号などがありますが、家族4人以上でお風呂のシャワーと台所の2ヶ所で同時で使用することがある場合は24号がお勧めです。

また、ガス給湯器には追いだき機能がついたタイプとついていないタイプがあり、一般的には追いだき機能がついたタイプ「ガスふろ給湯器」、追い炊き機能がなくお湯を出す機能だけを持つ機器を「ガス給湯器」といいます。

●電気温水器

電気温水器は貯湯タンクの水を電気ヒーターで沸かして保温しておく給湯器です。電気でお湯を沸かすため、炎や煙を出さず使用時の騒音もほとんどありませんが、貯湯タンクを置くスペースが必要となります。

電気温水器は一日に必要なお湯の量によってタンクを選び、4人家族なら370~460リットルが目安になります。追い炊き機能付きの温水器もあり、タンク内の高温のお湯と熱交換し、保温・追いだきをします。

●エコキュート

エコキュートとは環境に配慮したヒートポンプ式の家庭用給湯システムのことで、「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器」のことをいいます。

火や電気を使って直接、水を温めるのではなく、空気中にある「熱」を利用するヒートポンプシステムのため、電気エネルギーの約3倍の熱エネルギーを得ることができます。また、これまではヒートポンプシステムの冷媒としてフロンが使用されていましたが、エコキュートではCO2(二酸化炭素)を使用するためオゾン層破壊や温暖化ガス排出の抑制につながる環境に優しい給湯器です。

エコキュートも一日に必要なお湯の量によってタンクを選び、4人家族なら370~460リットルが目安になります。追い炊き機能付きの温水器もあり、タンク内の高温のお湯と熱交換し、保温・追いだきをします。

●ハイブリッド給湯器

電気とガスで効率良くお湯を供給できる給湯器です。
例えば、少量のお湯を使用する場合は電気のヒートポンプで、風呂など大量にお湯を使用する場合はガスのエコジョーズでお湯を沸かします。
最小限のエネルギーで効率的にお湯を供給できるので、光熱費を抑えることができ、住宅の省エネ性を高めることができます。

配管工法

給水管・給湯管は、以前は主流だった鉄管や塩化ビニル管に替わり、近年は軽量で柔軟な合成樹脂管が使用されています。

●さや管ヘッダー工法

メインの給水管・給湯管につないだヘッダーという分岐金具でタコ足状に分岐させ、さや管と呼ばれる樹脂製のトンネルの中に本来の給水管を通して各給水栓や水周り設備へ接続する方法です。

【メリット】

  • 給水管も樹脂製なので、加工や施工が容易です。
  • ジョイント部分が少ないため、漏水等のリスクを軽減できます。
  • トラブルの際の点検やメンテナンスも容易で、給水管が劣化した場合でも建築や設備に影響を与えずに中の給水管を引き抜いて交換することができます。
  • ヘッダーから各給水栓まで途中に分岐がないので、複数設備を同時に使用した場合でも、水量変化や温度変化が少なく、安定した給水、給湯できます。
  • 樹脂製かつ二重構造なので、結露の発生を抑えます。

【デメリット】

  • 配管の本数や長さが増えるので材料費が増える可能性があります。
  • しっかりとした配管計画が必要です。

排水設備

住宅から排出される水は、トイレからのし尿を含む排水を「汚水」、台所や洗面、浴室からの排水を「雑排水」、湧水や屋根からの排水を「雨水」といいます。

下水道が完備されていない地域では、排水処理は浄化槽で行います。浄化槽には汚水のみを処理するための「単独処理浄化槽」と汚水と雑排水を処理する「合併処理浄化槽」があります。

平成13年4月1日より浄化槽法が改正され、水域を汚す単独処理浄化槽の設置が原則禁止され、現在設置されている単独処理浄化槽も合併処理浄化槽に設置替えするよう努めなければならなくなりましたが、新築時に合併処理浄化槽を設置する場合や単独処理浄化槽からの変更に対して、市町村より補助金が出る制度がありますので、ご計画の際には各市町村にお問い合わせください。

なお、浄化槽の大きさの目安は、延床面積が130平米以下であれば5人槽、130平米を超えれば7人槽、2世帯住居でお風呂と台所がそれぞれ2ヵ所あれば10人槽となります。

浄化槽は使い始めてから数カ月の間と、以降は毎年1回法定検査を受けることが、浄化槽法で義務づけられています。また、家庭用の小型浄化槽では年に3〜4回の保守点検と、年に1回以上の清掃が必要です。