◆地区計画とは
建築物を建てる際には、建築基準法などの法律で決められた制限に従わなければなりません。しかし、これらは最低限守らなければならないルールではあっても、これだけでは良好な環境づくりを期待することはできません。
そこで、その地区ごとの特性を踏まえた細かな規制を設け、より良い街づくりを促すことを目的として定められるのが地区計画です。
地区計画では、その市街地の環境について住民の視点から、それぞれの地区が持っている課題や個性を踏まえながら、街づくりを考えていきます。生活に密着した身近な計画ですので、町やブロックなどのエリアごとや共通した特徴を持つ地区ごとに、土地や建物の所有者などの住民が主体となり、実際の状況に応じた計画を立てていきます。
地区計画が決定した以降は、地区内での開発や建築を行う場合には、地区計画に沿って建築物を建てる必要があります。
◆地区計画による制限の例
地区計画には、その地域ごとに様々な制限がありますが、代表的なものには、以下のものがあります。
・建築物の用途の制限
建築できる建物と建築できない建物とを分けて、地域内の用途の混在を防ぐ。
・容積率の最高限度または最低限度
周囲と調和した土地利用を進める。
・建ぺい率の最高限度
良好な日照や通風を確保して、ゆとりある街並みをつくる。
・敷地面積の最低限度
狭小敷地ができることによる密集した住環境の防止。
・建築面積の最低限度
ペンシルビルを防止し、共同化などで土地の高度利用を進める。
・壁面の位置の制限
道路や隣地への圧迫感を和らげ、良好な住環境づくりや火災延焼防止を図る。
・建物高さの最高限度、または最低限度
街並みの揃った景観をつくり、土地の高度利用を促進する。
・建築の形態または色彩等の意匠の制限
色や仕上げ、建物の形、デザイン等を統一し、まとまりのある街並みをつくる。
・垣または柵の構造の制限
震災でのブロック塀倒壊防止や生垣にすることで緑の多い街並みをつくる。
・緑化に関する規定
敷地の空地面積の一定割合いに樹木を配し、地域の緑化を促す。