完了検査とは
*一般的に工事完了時に行われる検査のことを総称して完了検査と呼ぶことがありますが、ここでは建築基準法に基づく「完了検査」について記します。
建築確認申請によって、図面上は法令を遵守した建物を建てることが確認できても、実際に建った建物が建築確認申請の通りに施工されたのかどうかは分かりません。
「完了検査」は、建物の使用を開始する前に、建築確認申請通りに施工されたことを確認する検査で、この検査に合格しなければ、原則としてその建物を使用することはできません。
完了検査が必要な建物
用途や規模に関わらず、建築確認申請を受けたすべての建物は、完了検査の対象となります。
完了検査の流れ
(1)申請
建物の工事が完了した日から4日以内に、完了検査申請をしなければなりません。
<申請者>
建築確認申請と同様に、申請者は建築主になりますが、工事監理者となる工務店や設計者、ハウスメーカーなどが代理人となって申請するケースがほとんどです。
<提出先>
都道府県や市区町村の建築主事または民間機関である指定確認検査機関に、所定の完了検査申請書を提出します。
検査の実施は、この申請を受理した日から7日以内に行うことが建築基準法で定められていますが、検査希望日時等がある場合は、事前相談や予約をするといいでしょう。
(2)検査
都道府県や市区町村または指定確認検査機関の検査担当が現場に赴き、目視や寸法測定等によって、確認申請時に添付した設計図書通りに施工されたかを検査します。
検査時には工事監理者の立会いが求められます。
(3)検査済証の交付
建物が申請内容に適合し、設計図書通りに施工されたことが確認できた場合は「検査済証」が交付されます。
不適合と判断された場合は、是正または計画変更の手続きを行わなければなりません。この場合、その建物の使用は認められません。
また住宅ローン利用時に、金融機関から融資の実行条件として、この検査済証の交付を受けることを求められることがあります。
申請手数料(検査手数料)
申請先や建物の延床面積、中間検査の有無によって金額が異なります。
また建築確認申請の提出先、直前の中間検査の申請先とは別の検査機関に申請する場合は、金額が割増に設定されていることがありますので、事前に確認しましょう。
例)東京都の申請手数料(東京都都市整備局ホームページより)
・中間検査あり
30平米を超え100平米以内 :11,000円
100平米を超え200平米以内:15,000円
200平米を超え500平米以内:21,000円
・中間検査なし
30平米を超え100平米以内 :12,000円
100平米を超え200平米以内:16,000円
200平米を超え500平米以内:23,000円
罰則
検査済証の交付を受けられない建物は違反建築物とみなされ、使用禁止、除却などの命令が出されます。
その違反建築物を是正することなく使用した場合、建築主は懲役または罰金が課せられ、それらに関わった業者も懲役または罰金、業務停止、免許取り消しなどの処分を受けることがあります。