注文住宅の支払いは、工事の出来高に応じて支払う考え方が一般的です。
しかし細かく出来高を分けて支払い条件を設定すると、大変手続きが煩雑になってしまうため、一般的には「おおむね出来高に応じた配分」として、工事着手時1/3、中間(上棟)時1/3、完成引渡時1/3程度の範囲で支払い条件が設定されていることがほとんどです。
工務店で建てる場合の一般的な支払いのタイミングは以下の通りです。
(1)契約時
「着手金」として工事費の1/3程度を支払います。着手金は、自己資金で支払う必要があります。
工務店によっては、契約時に工事費の10%、工事の着工時に工事費の20%などと支払いを分けている場合もあります。
また、自己資金が少ない建て主に対しては着手金を10%程度にするなど、状況に応じて当初の支払いを少なくしている工務店もあります。
(2)中間(上棟)時
「中間金」として工事費の1/3程度を支払います。
木造住宅などでは棟が上がる上棟の頃、RC造住宅などでは屋根までコンクリート打ちが終わる頃が工事の中間時です。
中間金は、原則として自己資金で支払う必要がありますが(一部の金融機関では中間金の分割実行が可能な場合があります)、建て主の資金計画内容に応じて中間時の支払い額を考慮してくれる場合もありますので、あらかじめ相談しておきましょう。
(3)引渡し時
建物が完成し、手直し工事が完了すると引渡しです。このタイミングで工事請負金額の「残代金」1/3を支払います。
また、工事請負契約の内容とは別に生じた追加変更工事や別途工事があれば、その代金についてもこの時点で支払います。
工務店に登記などの手配を依頼している場合には、「建物の登記費用」、「司法書士等への登記手続き費用」、「火災保険料」なども支払います。
◆住宅ローンを利用する場合の注意点
土地を新たに取得してから家を建てる場合で、土地・建物の購入に住宅ローンを利用する場合には、原則として建物分の融資実行は建物完成時の1回です。
残代金以外の着手金、中間金は自己資金で支払う必要がありますが、一部の金融機関では、建物の完成前に融資額の一部を実行してくれる場合がありますので、融資実行のタイミングを金融機関に確認することが必要です。
自己資金で土地を購入する場合や建て替えの場合など、土地に住宅ローンを使わないケースでは、建物の完成前に融資額の一部を実行してくれる金融機関もありますので相談してみましょう。
いずれにしても、工務店への支払いと借入先の融資実行のタイミングを前もって確認し、資金が途中でショートしないように計画することが重要です。
◆その他の支払い方法
最近では、工事の進捗状況に合わせてより細かく支払いのタイミングを設定した、厳密な出来高払いを取り入れている工務店も増えています。
「出来高払い」は、建物が出来た割合に応じてその都度工事費を支払う方法ですので、万一、工務店が工事中に倒産した場合でも、工事が完了している割合よりも多く費用を払い過ぎてしまう「過払い」を防ぐことができ、建て主にとってはメリットのある支払い方法といえます。
なお、出来高払いは、住宅ローンを使う場合や工務店が対応していない場合があるなど、全てのケースが対象になるという訳ではありませんので、事前に確認が必要です。