スタートラインに立った日
「設計契約書」にサインをした日、母はたいそう緊張していて、ペンを走らせる手が少し震えていました。でも、サインを終えた後に胸の中に広がったのは、安堵と、静かな達成感だったそうです。
私自身にも、住宅ローンのこと、相続のことが目の前に迫ってきています。それでも、「ここまで来られた」という実感が、その重さを支えてくれていました。
第1回で書いた「実家の建て替えを決めた日」から、期間としては短くも、長い道のりでした。あの頃は、まさか自分がここに辿り着けるとは、半信半疑でした。
契約を終えた今、より具体的なプランの検討が始まっています。メーカーのショールーム見学を予約し、工務店への訪問も日程が決まりました。先方から、「お母さまと一緒に、お父さまもぜひ」という提案をいただき、家族全員のことを気にかけてくれているその心遣いが、じんわりとありがたく感じられました。
頼もしい工務店との日々
今回お願いすることになった工務店は、現在、営業担当と設計士が二人一組で対応してくださっています。面談中の雑談の中にこぼれた何気ない一言まで、きちんとプランに盛り込むその細やかさは、本当に頼もしいものでした。
ただ、それゆえの誘惑もあります。「あれもできる、これも取り入れられる」と、気づけば当初の予算や優先順位からどんどん離れていきそうになるのです。嬉しい悩みではありますが、自分を戒めなければと、内心で何度もブレーキをかけていました。
それでも、数多くの工務店の中から、家族で話し合いながら、納得してここを選んだという事実が、これからの家づくりへの信頼の土台になっています。
家族が語る、工務店マッチングへの感想
今回の家づくりを通じて、家族はこのサービスをどう感じていたのか、率直な言葉を聞いてみました。
父より
「今の家を建てた頃、自分はまだ40代だった。当時は若く体力もあったし、自営業で休みの調整がしやすかったこともあり、ハウスメーカーを探す労力もなんとか出せた。
でも70歳を過ぎた今は違う。年を取って体力も落ちて、同じことをゼロからやるのは、自分たちだけではとても無理だったと思う。こうしたサービスと出会えて、本当に助かった」
母より
「今の家を建てる前、ハウスメーカーがたくさん載った本を買い、巻末のはがきを一斉に出した。営業さんが次々に訪問してきて、子育てと自営業のさ中に応対するのは本当に大変だった。
あれはあれでよい経験になったし、楽しさもあったけれど、今の年齢と体調では、とてもできない。個人的には、インターネットで申し込んだ後、電話でコーディネータと話せたのがよかった。ネットに不慣れな世代だから、人の声を聞くと安心する。ちょっとした疑問にも答えてもらえて、本当にありがたい。伝えた要望の中から、すぐに自分のツボにはまる工務店を紹介してもらえたことが、何より嬉しかった」
両親の話を聞いて、改めて感じたことがありました。このサービスの価値は、年齢や経験を問わず、「自分ひとりでは気づけなかったこと」を引き出してくれる点にあるのかもしれません。
ザ・ハウスのサービスは、申込みこそウェブサイトから行いますが、その後はコーディネータとの電話でやりとりを進めていきます。工務店を自分で探そうとすると、調査・比較・検討を何度も繰り返すことになります。好みの一社にたどり着くまでに、どれだけの時間と労力がかかるか、経験した方になら、きっと頷いてもらえるはずです。
あえて「電話で話す」という手段
ザ・ハウスの工務店マッチングサービスは、コーディネータと電話でやり取りをする流れがあります。一回目の電話で現在の状況や要望を伝えていただき候補の工務店を挙げる、二回目の電話で候補の工務店にさらに詳しく触れていきます。
「電話で話す」ことには、メールやチャットとは異なる価値があると思います。要望を伝えるため、言葉にしようとする過程で、自分でも気づいていなかった優先順位が見えてくることがあるからです。
また、話しながら思いついた疑問をその場で投げかけて、すぐに答えをもらうこともできます。このやりとりの積み重ねこそが、納得のいく工務店選びへの近道になります。効率やタイムパフォーマンスという言葉が広まった今の時代に、あえて「話す」という手段を選ぶことは、前時代的なのではなく、むしろ「合理的な選択」かもしれません。
次回、最終回へ
第1回から数えて、ここまで長い道のりでした。
工務店との面談を重ねる中で、工務店にはハウスメーカーとは異なる良さがあることを改めて感じました。どちらが優れているという話ではなく、それぞれに利点がありました。もしも「家を建てるなら、まずは展示場(ハウスメーカー)へ」という前提だけで動かれているのなら、少しもったいないかもしれません。
次回はこのシリーズの最終回です。マッチングコーディネータという仕事を持ちながら、今度は自らが施主として体験したことで見えてきた「マッチングの本質」と「ザ・ハウスの価値」についてお伝えします。
家をどこで建てようかと迷っているすべての方へ。
【1】実家の建替えを決めた日
【2】家族の本音と、現実との折り合い
【3】ザ・ハウスの工務店マッチングサービスに申し込んだ日
【4】工務店マッチングサービス、二回目の電話で見えてきたもの
【5】工務店との面談開始(前編)
【6】工務店との面談開始(後編)
【7】工務店の候補を検討する
【8】工務店を最終決定する
【9】契約書にサインする日



