「せっかく注文住宅を建てたのに、夏が暑くてエアコン代が大変…」そんな声をよく聞きます。特に西日が厳しい土地や、南向きの大開口に憧れて設計した方ほど、室内の暑さに悩まされがちです。今回は、夏を快適に過ごすための「遮熱」と「通風」を両立させた実際のお客様の事例を交えてご紹介します。
知って得する3つのポイント!
・夏の暑さ対策で後悔しない間取り設計の考え方
・「西向きの土地」でも快適に暮らす成功例
・日射遮蔽と通風設計のバランスの取り方
やっぱり不安な夏の暑さ対策
「西向きの土地って安いけど、夏は地獄になるって本当?」
「南向きのリビングに大きな窓を付けたいけど、暑くなるのが不安…」
そんなご相談を、30代後半~50代のご家族からよく受けます。
特に最近は猛暑日が増えており、「建ててからでは遅い」と思っている方が増えています。注文住宅の自由度が高い反面、こうした暑さ対策が疎かになると、快適さが大きく損なわれてしまいます。
たとえば、都内の南西に開けた土地に家を建てようとしていたS様ご夫婦(40代・1歳、4歳のお子様2人)のケース。まだお子様が小さいこともあり、奥様は在宅でできる仕事に就かれていました。そのため、日中はリビングで過ごす時間が長いとことから、「日当たりの良いリビングにしたい」と、天井までの大きな窓をご希望されていました。ところが、夏場の暑さのリスクについてご説明すると、「え、そんなに違うんですか?」と大変驚かれていました。
実は、夏の午後から夕方にかけての西日がもっとも厄介で、何も対策をしないと室温が40度以上になることもあります。さらに、冷房効率が下がり、光熱費も跳ね上がります。
S様は設計の段階で「軒の出を深くする」「遮熱性能の高いサッシを採用する」「開口部の配置を再検討する」など、提案を受けながら、快適性を最優先したプランにブラッシュアップしていきました。
検討ポイントはこの5つ!
打合せの中でS様がアドバイスを受けたのは以下の5つです。
①遮熱のポイント:軒や庇の設計:夏の高い日差しは遮り、冬の低い日差しは取り入れる工夫。
②高性能サッシ:日射を調整する遮熱ガラスや、熱を逃がさない樹脂サッシ・トリプルガラスの検討。
③外付けブラインドやルーバー:可動式で季節や時間帯に合わせて調整できる。
④通風のポイント:窓の配置と高さの工夫:風の通り道を計算し、空気が流れる設計に。・吹き抜け+高窓の活用:上昇気流を利用して空気を循環させる。
⑤網戸の性能と開閉のしやすさ:風通しの良さを活かす細かな工夫も重要。
これらは、土地の向きや周辺環境によってベストな組み合わせが変わります。個別の事情に合わせた対策こそが、成功のカギになります。
S様が選んだ解決方法
南西向きの土地ではあるものの、43坪の広さがあったため、S様は最終的に、以下のような設計を選びました。
・南向きのリビングに約1mの深い軒を設置
・西側の窓は最小限にして遮熱ガラスを使用
・「HEAT20 G2グレード」の基準を採用
・玄関から庭まで抜ける通風設計に変更
・植栽による日陰づくりも取り入れた
完成後にS様の家をご訪問した際、奥様から「エアコンの設定温度を以前より2℃高くしても涼しく感じる」「子どもたちが夕方もリビングで快適に過ごせるようになった」「忙しい夕方の時間も快適!」と心から喜んでいた笑顔が印象的でした。
「マッチングコーディネータの視点!」
現場では、「土地は気に入ったけど西向きなのが気になる…」という方がいらっしゃいます。ポイントは“向き”ではなく“設計の工夫”です。
設計の初期段階から相談できる環境を整えることで、暑さを感じにくい家づくりは可能です。単に「日当たりがいい土地!」だけで判断せず、「どの時間帯にどのくらい日が入るのか」「どう遮るか」を土地購入前にプロの目線でチェックいただくことも重要です。
まず、夏に家がどう暑くなるのか、自宅や検討中の土地で“日差しの動き”を観察してみましょう。そして、「遮熱」と「通風」のバランスを意識した設計に強いパートナー探しを始めてみてください。暑さに後悔しない家づくり、ぜひ実現してください。