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家づくりでは、誰もが「どこにお金をかけるべきか」で迷います。 キッチン、浴室、外観、仕上げ材、照明…あれもこれも気になるけれど、すべてを叶えるには予算に限りがあります。
今回ご紹介するのは、家づくりを経験したご家族のリアルな声。 「ここにお金をかけてよかった」「もっと考えておけばよかった」など、実際の事例から学べる“予算の使いどころ”のヒントをまとめました。
ケース①:家事動線に優先して大正解!でも収納が…
40代ご夫婦+お子さま2人のご家族。 「とにかく家事の効率を上げたくて」、そう話してくださった奥さま。 共働きで帰宅後の家事が毎日バタバタ。「せめて動線だけでも整えたい」と、キッチンから洗濯室、ファミリークローゼットまでを一直線につなぐ間取りに決めました。
◎ よかったこと:
- 食事の支度中に洗濯機を回せる動線で、時短が実感できた。
- 家族全員の動きがぶつからず、朝のイライラも軽減。
▲ 後悔の声:
「ファミリークローゼットがあるから各部屋の収納は最低限」にした結果、子どもの荷物が収まりきらず、結局各部屋が散らかってしまたようです。
◆ 担当者の視点:
重要な要望に集中することは大事ですが、それによって他が手薄になると“本当の暮らしやすさ”から離れてしまうことも。検討過程で立ち止まり、全体を俯瞰して考えることが大切です。
ケース②:見た目を優先して外壁にこだわった結果…
50代ご夫婦の終の住処づくり。 「玄関に立ったとき、あ、この家にしてよかったと思いたくて」とご主人。 長年の夢だった“タイル外壁の家”にするため、当初の予算を超えてでも決断されました。
◎ よかったこと:
- 雨の日でも重厚感が映える外観に「家に帰るのが楽しみ」と奥さま
- タイルの耐久性は期待以上で、メンテナンスの手間も軽減
▲ 後悔の声:
「家具にもう少しお金をかけられていたら…」 リビングの内装やダイニングテーブルなどに妥協した結果、室内の“居心地”に違和感が残ってしまったそうです。
◆ 担当者の視点:
予算に限りがあるからこそ、「中途半端に分散するより、優先度の高い部分にしっかりコストをかける」ことも大切です。 特に外壁など“後からやり直しが難しいもの”は、新築時にこだわっておくと後悔が少ないと感じます。
ケース③:外壁の仕上げ、5年後に明暗が分かれた
40代後半のご夫婦+小学生の子ども2人のご家庭。 予算重視で、外壁の塗装を道路面と裏面で変えたご家族。 メンテナンス性の高い塗料は高額だったため、道路側のみに採用。
◎ よかったこと:
- 当初の建築費を抑えることができた
▲ 後悔の声:
5年後に裏側の劣化が目立ち、見た目に差が…、「無理してでも全面に同じ塗装をしておけばよかった」ようです。
◆ 担当者の視点:
見えない面にお金をかけるのは勇気がいる決断です。 ですが、家は360度から風雨にさらされます。後からの補修や見た目の差を気にする声も多く聞きます。 “表面だけの判断”で決めるのではなく、10年後の姿を想像しながら選ぶことが後悔を防ぐポイントです。
ケース⑤:水まわりにしっかり投資して大満足
40代共働き夫婦のご家庭。 キッチンや洗面など、毎日使う場所に予算をしっかりかけたご家庭。
◎ よかったこと:
- 「家事が楽しくなった!」と奥様談
- 掃除のしやすさや収納力も◎で、日々のストレスが減少
◆ 担当者の視点:
生活に密着する空間だからこそ、“我慢”や“妥協”が毎日に影響を及ぼします。 ショールームでの体験や使い心地を大切にして選ぶ方は、長期的に見ても満足度が高い傾向にあります。
ケース⑥:照明・コンセントの工夫で暮らしにゆとり
30代後半、家づくりにこだわりを持ったご夫婦。 リビングに間接照明や調光機能を取り入れ、コンセントの数や位置も綿密に計画。
◎ よかったこと:
- 空間の雰囲気がよくなり、日常に癒しが生まれた
- 「ここにもコンセントがあって助かる!」というシーン多数
▲ 後悔の声:
心配で多く設置したが「結局使わなかった」箇所もあったそうです。1か所あたりの価格は少額でも、積み重ねると意外な出費になっていたと振り返られました。
◆ 担当者の視点:
照明や電源計画は「暮らしの質」に直結する細やかな部分。 使い勝手の満足度が高いご家庭ほど、早い段階で動線や家電の配置まで具体的にイメージできていた印象です。 一方で、感覚だけで「多ければ安心」と決めてしまうと、ムダが生まれやすくなります。 “どんな暮らし方をしたいのか”が設計の精度を左右します。
ケース⑦:子ども部屋の間取り、将来を見越しておけば…
40代のご夫婦+2人兄妹のご家庭。 当初は「子どもが小さいから」と1室にまとめたが、成長に伴い分ける必要が。
◎ よかったこと:
- 小さいうちは広く使えて、兄妹で遊ぶにも目が届きやすかった
- 最初の設計が柔軟だったため、家具の配置である程度のゾーニングができた
▲後悔の声:
後から壁を設けるには工事の手間やコスト面でハードルが高かったようです。特に分ける時期が教育費がかかる時期と重なり、改めて予算を確保するのが難しかったご様子でした。
◆ 担当者の視点:
新築時に間仕切り壁をつくっておけばコストも抑えられ、工事の負担も少ないケースが多いです。 ただし、子どもの性別や年齢差によっても将来必要な部屋の分け方や時期は異なります。 将来の使い方を見越して備えることも、いまの暮らしを優先することも、どちらにもメリットがあります。大切なのは、“自分たちの家族にとってどちらが納得感のある選択か”を見極めることです。
家づくりは「あったらいいね」の連続──だからこそ優先順位が大事
家づくりにおいて、どこに予算をかけるか、どこで調整するかは、単に金額の大小ではなく、“自分たちの暮らし”にとって何が大切かを見極めることが重要です。満足度が高い方の共通点は「最初の段階で暮らし方のイメージが明確だった」こと。 逆に、迷いながら進めると「あとで気づくこと」が増えてしまいます。
マッチング担当として、私たちが日々感じるのは、 『プロとの相談の中で、自分の優先順位に気づく方が多い』ということ。まずは話してみることで、家づくりにおける“お金の使い方”の精度も上がっていきます。