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最近、SNSや雑誌で目にすることが増えた「ジャパンディ」。
日本の“禅・侘び寂び”と北欧の“ヒュッゲ(居心地の良さ)”を組み合わせた、静けさと温もりを感じるインテリアスタイルです。海外で生まれ、ここ数年で日本でも注目されるようになりました。
家で過ごす時間を心地よくしたいという思いから、ミニマルで自然素材を活かすこのデザインが選ばれる場面が増えています。とはいえ、流行にのりすぎる必要はありません。暮らしに合う部分を取り入れる――そんな柔らかな選択肢として、ジャパンディを考えてみませんか。
ジャパンディのエッセンスは、余白・自然素材・機能美
ジャパンディのエッセンスは、
・余白を生かしたミニマルな設え
・木やリネン・和紙・陶器といった自然素材
・使いやすさを大切にする機能美
色は白・グレー・ベージュを基調に、黒をアクセントに用いると空間が締まり、静けさの中に凛とした表情が宿ります。家具は低めでラインを揃えると、視線が抜けて部屋が広く感じられます。こうした要素は、流行に左右されにくく、長く心地よさを保てるのが魅力です。
なぜ「今」、話題になっているのか
家づくりでは性能や耐久性が前提。そのうえで、デザインに心地よさを加えることで、暮らしへの納得感が高まり、住まいへの愛着が育ちます。
ジャパンディは、落ち着いた配色×自然素材×余白という普遍的な要素で構成されるため、長く愛せるデザインです。さらに、片付けや掃除がしやすいレイアウト思想が根底にあり、暮らしの手間を減らす設計と相性が良い点も、注文住宅・リノベと親和性の高い理由です。
新築住宅で生かす設計ポイント
プランは「抜け」と「余白」を優先
視線の通り道(動線・開口部)を確保し、家具を詰め込み過ぎない前提でレイアウト。LDKはロータイプ家具で水平ラインを整えて、照明は間接光で層を作ります。
素材計画:手触りが良い自然素材を主役に
床・造作はオークや杉・ヒノキなどの無垢材、壁の一部に和紙や左官の柔らかな質感を。ファブリックはリネンやウールで季節の温度差を穏やかにします。
色の“引き算”で長く愛せる
ベースカラーは明度の近いニュートラルで統一。アクセントは黒や深緑を10〜15%程度に抑え、飽きの来ない落ち着きを保ちます。
リノベーションで叶える“静けさのアップデート”
家具の重心を下げる
テレビボードやソファをロータイプに。既存の天井高はそのままでも、視線のレベルを下げるだけで開放感が増します。
照明を層で整える
ダウンライト主体から、スタンド・ブラケット・ペンダントの三層照明へ。光を分散させると影のグラデーションが生まれ、夜のくつろぎが深まります。
素材を一点投入
すべてを替えなくても、ダイニングテーブルを無垢材に、ラグをウールに、ランプを和紙に――これらの変更で点から面へ広がります。
色数を絞る
壁一面を塗り替えるより、まずは布ものの色を揃えると効果大。クッション、カーテン、ラグでベージュ〜グレージュに寄せ、黒小物でリズムを付けます。
打ち合わせのヒント
“触れる頻度が高い部分”に投資
ダイニングテーブル、ソファの張地、床材といった生活接点が、空間体験を左右します。見えの一括変更より、触れ心地の質を上げるのが近道です。
写真共有は“色と素材”中心に
SNSで見つけた理想の画像は、家具の形より色味・素材・光の質を言語化して工務店と共有すると、再現性が高まります。
メンテナンスを前提に素材選び
無垢材やリネンは経年変化が魅力。手入れ方法も含めて「育てる楽しみ」を合意しておくと、長く心地よさが続きます。
性能は前提、デザインは選択肢
性能は前提、デザインは選択肢
家づくりでは、耐震性・断熱性・省エネ性能といった基本性能は必須です。ここをしっかり押さえたうえで、暮らしを彩るのがデザイン。ジャパンディは、流行に左右されにくいシンプルさと自然素材の心地よさが魅力です。
取り入れるときは「どこまでデザインに予算を配分するか」「メンテナンス性はどうか」を考えることがポイント。たとえば、床材や照明など“毎日触れる部分”に絞って投資すれば、コストを抑えつつ雰囲気を出せます。
性能で安心を、デザインで愛着を――そのバランスを見つけることが、満足度の高い家づくりにつながります。



