工務店さんのご助言も参考に

  • 2013-07-04
  • 名前:ザ・ハウス

ポリスBさん、こんにちは。
 
首都圏ではほとんどの地域が防火地域か準防火地域に属していますので、ポリスBさんのご質問は、今、家を建てることをお考えの多くの方に影響する問題です。
この問題は、2010年に大手サッシメーカーの一部製品に関して、防火性能が国土交通大臣の認定基準を満たさないことが判明したことに起因しています。
この問題が発覚するまでは、一般社団法人カーテンウォール・防火開口部協会(カ防協)が「通則認定」という書類上の審査を行う方法で各サッシメーカーの大臣認定の取得手続きを行っていましたが、今後は各サッシメーカー自身が直接、製品毎に個別の試験を受け、「個別認定」という方法で大臣認定を取得しなければならなくなりました。
これによって、防火サッシの防火性能が引き上げられる側面はあるものの、制作や検査のコストが掛かるため、価格がアップすることがほぼ確実になっています。
また、個別認定を取得するまでの時間も掛かるため、現在のところ、個別認定を取得している製品の数も限定されています。
通則認定品から個別認定品に切り替わるタイミングの今年の12月末から数ヶ月の間は、防火サッシの価格が倍程度にアップすると言われており、仮に市場がこなれてきたとしても1.5倍程度のアップは避けられないだろうという声も聞かれています。
ただし、防火サッシの防火性能は向上しますので、考え方によっては、かつてより住宅性能の水準が向上するという考え方もできなくはありません。
今回の問題に対する対処については、個別認定品への切り替えが行われる12月末までに現行の通則認定品を納品することで対応するお考えの工務店さんもいらっしゃるようです。
なお、準防火地域で家を建てる場合のように防火設備を求めれている建物でも、全ての窓に防火サッシの設置が求められているわけではありません。
建築基準法では「延焼の恐れのある部分」に対して防火サッシの設置を求めており、その他の部分については設置の義務はありませんので、「延焼の恐れのある部分」以外に設置される開口部については、一般のサッシを採用することで価格を抑えることができます。
※「延焼のおそれのある部分」についてはこちらをご覧ください。
「延焼の恐れのある部分」にかかる開口部に関しても、サイズの変更や設置位置を変更することによって、一般のサッシを採用できる場合がありますが、これは採光や使い勝手などの他の要件との兼ね合いも関係しますので、一概にコストだけの問題で判断できることではありません。
対処の方法としては、工務店さんにご相談の上で、「設計上、工夫できる余地がないかを検討する」、また「個別認定品への切り替え前に通則認定品を納品するか、切り替え後に価格が安定する頃を見計らって納品するべきか」を見極めることが必要かと思います。
消費税の問題もあり、難しいご判断かと思いますが、今回の件は工務店さんも少なからず憤りを感じているようです。
ぜひ、工務店さんのご助言も受けつつ、よりよい形を模索していただければと思います。がんばってください。