将来的なリスクも含めて冷静にご判断ください

  • 2018-09-09
  • 名前:ザ・ハウス

大工見習いさん、こんにちは。

すでにご存じのこととは思いますが、完了検査は建築基準法で定められた義務で、検査済証の交付がなく建物の使用をした場合は、懲役1年以下、または100万円以下の罰金が科されます。

※参考/国土交通省「厳罰化に関する基礎データ」
http://www.mlit.go.jp/common/000116324.pdf

確かに15~16年程前は、完了検査を受けていない建物が3割程度存在していたと言われています。ただし、その当時からすでに完了検査は建築基準法で義務付けられており、罰則規定もありました。
しかしながら、当時は厳格な運用がされていなかったため、現実的には完了検査を受けていない建物が3割程度存在している、というのが実態だったようです。

しかしこれは15~16年程前の話であって、当時この問題が新聞やニュースで取り上げられたり、その後の耐震偽装問題の影響もあって、10年程前(平成19年)からはより罰則規定も厳しくなり、現在では厳格に法律が運用されるようになっています。「今年から検査を義務付けられている」とのご説明は、この言葉通りの解釈をすると誤りではないかと思いますので、改めて設計者に確認されることをお勧めします。

また、今の時点では、住宅ローンのご利用も、増改築のご予定もないとのことですが、将来的に万が一売却することになった場合には、検査済証がないと、相場よりも売却価格を低く設定しないと買い手がつかなかったり、売却期間が長期化してしまう可能性が高くなります。
と申しますのも、検査済証がないと購入希望者がローンの利用ができず、自己資金で購入できる方に買い手が限られたり、次の購入者がリフォームをする際に適法な増改築ができない可能性が残るからです。

法律の遵守は十分ご理解のことと思いますが、これらの将来的なリスクも含めて、冷静にご判断されることをお勧めします。