「一戸建て修繕の実態調査2026」が、アットホームから発表されました。
新築一戸建てを購入して30年以上住んでいる人が、これまでにかけた住宅修繕費の平均は554万円だったそうです。また、修繕費を積み立てていない人が9割以上を占めるという結果も出ていました。
554万円という金額を見て、「やはり家は維持費がかかるな」と感じた方も多いと思います。
ただ、この調査を見ながら、少し気になったことがありました。
修繕費は「元に戻すためのお金」
今回の調査で集計されているのは、主に外壁や屋根、給湯器など、経年劣化した部分を修繕するための費用です。つまり、家を元の状態に戻すためのお金と言えます。 もちろん、それは家を長持ちさせるために欠かせません。
ただ、30年という時間の中で変わるのは建物だけではありません。暮らし方も変わります。
・子どもが独立する。
・夫婦二人の生活になる。
・働き方が変わる。
・介護を考えるようになる。
実際の住宅相談でも、「壊れたから直したい」という話より、「今の暮らしに合わせて住みやすくしたい」という相談をいただくことは少なくありません。
もちろん、「子どもも独立したし、壊れたところだけ最低限直して静かに暮らせれば十分」「修繕に数百万かけるならコンパクトな家に住み替える」という選択肢もあります。人それぞれ家にかける優先順位は違って当然です。
本当に考えておきたいのは、その先の暮らし ただ、もし「この先もこの家で、快適に安全に暮らし続けたい」と思うのであれば、将来必要になるお金は単純な修繕費だけではないかもしれません。
マンションには積立金があるけれど
今回の調査で印象的だったのは、修繕費を積み立てていない人が9割以上だったことです。ただ、これも無理のない話かもしれません。
マンションでは、管理費や修繕積立金を毎月支払うのが当たり前です。そのため、「いつか建物には修繕費がかかる」という意識を持ちやすいと思います。一方、戸建て住宅には修繕積立金がありません。
本来は自分たちで将来の修繕費を準備していかなければなりませんが、毎月請求が来るわけではないため、どうしても後回しになりがちです。
しかし、外壁も屋根も給湯器も、いつかは交換や補修の時期を迎えます。家は建てたら終わりではなく、維持していくための費用が必要です。
本当に考えておきたいのは、その先の暮らし
さらに考えると、将来必要になるお金は修繕費だけではないかもしれません。
例えば、
・冬の寒さを改善するための断熱改修。
・光熱費を抑えるための設備更新。
・将来を見据えたバリアフリー化。
こうした工事は、単純な修繕というよりも、これからの暮らしを快適にするための投資です。
今回の554万円という数字は、家を維持するために必要だった費用の実態を示しています。ただ実際には、その先に「もっと快適に暮らしたい」「今の生活に合わせたい」という希望が加わることも少なくありません。
家づくりは建てた後の方が長い
家づくりでは、どうしても新築時の予算や住宅ローンに目が向きます。しかし、住み始めてからの30年、40年の方がはるかに長い時間です。
今回の調査を見ながら、554万円という数字以上に印象に残ったのは、「戸建て住宅は自分で修繕費を準備していかなければならない」という、ごく当たり前のことでした。
マンションの修繕積立金のように毎月請求されるわけではないからこそ、つい忘れてしまう。けれど、その積み重ねが将来の選択肢を広げることにもつながります。
家は、建てた時が完成ではありません。
その時々の暮らしに合わせて手を加えながら住み続けていくものなのだと、この調査を見て改めて感じました。

