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からだにやさしい住環境とは - 設備選び方工夫

「うちの長男、ちょっとした温度の変化で咳が出るんです」。
そう話してくださったのは、注文住宅を検討中のS様ご夫婦。共働きの30代後半で、小学2年生の男の子と年中さんの女の子のマンションに住む4人家族です。子どもたちの成長と健康を考え、より安心できる住環境を求めて戸建てへの住み替えを考えいました。

からだにやさしい住宅設備の選び方ポイント3つ!

・ZEHとは何か?そしてどんなメリットがあるのか
・冷暖房効率を高めるための考え方と選択肢
・ZEH基準と設備を組み合わせた住まいを選んだS様の判断と理由

喘息持ちの子どもの体調管理が出発点

特に気がかりだったのはお子様の体調管理でした。長男は軽い喘息を持ち、冬の寒暖差や夏の冷房による急な冷え込みに敏感です。寝室とリビングの温度差や、廊下・洗面所の寒さが引き金となって体調を崩すこともたびたびありました。

「せめて家の中ぐらい、どこにいても安心して過ごせる空間にしたい」

そう考えたS様は、住宅性能のなかでも“冷暖房効率”に注目し、本格的な情報収集を始められました。
展示場やネット検索で目にしたのが「ZEH(ゼッチ)住宅」。ただ、ZEHといっても何を重視すべきか、どこまで導入すればよいのか、具体的な判断に迷っていました。

ZEHとは?冷暖房効率にどう関わる?

ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、使うエネルギーより作るエネルギーが多い、または同等である住宅のことです。国が推進しており、義務ではないものの新築住宅では標準的な仕様になりつつあります。

ZEHの特徴は以下の3つの柱で成り立っています。
・高断熱:家の中の熱を逃がさず、外気の影響を受けにくくする
・高効率設備:冷暖房や給湯などのエネルギーを効率よく使う
・創エネ:太陽光発電などでエネルギーを自家生産する

S様のように「室温変化による体調への影響」を避けたい場合は、これらの基本性能に加え、次のような空調設備設計なども重要な検討事項になります。
・全館空調:家全体の温度を均一に保つ
・床下エアコン:足元からじんわり暖め、快適性と効率を両立
・第一種換気:外気の温度・湿度を調整しながら給排気

S様が提示された3つの案

S様が工務店から提案されたのは、次の3つでした。
ZEHフル対応型:外皮性能を高め、太陽光発電でエネルギーを自給するプラン
温度ストレス対策型:高断熱・高気密に加え、床下エアコンと第一種換気で室温ムラを防ぐプラン
高機能設備集中型:断熱は抑えめにし、空調・給湯設備などをハイグレードにするプラン

見学会で体感した“やさしい温度”が決め手に

決め手は冬の見学会で感じた家の中の“やさしい温度”でした。
2月の寒い日、玄関からリビング、洗面室へと移動しても体がヒヤッとしなかった体験に「この家なら、長男も安心できる」と確信されたそうです。採用された仕様は以下の通りです。

・UA値0.46の高断熱仕様
・中間気密測定で施工精度を確認
・床下エアコンによる全館暖房
・第一種換気による温湿度制御

さらに、6kWの太陽光パネルを搭載。日照条件と発電効率を考慮した上での、現実的な創エネ計画でした。

すべてを完璧にせず“優先順位”で選ぶ

一方で、妥協した点もあります。
全館空調の導入は、初期費用とメンテナンスの手間を理由に見送り、床下エアコンによる部分的な暖房方式を採用。また、屋根形状や建ぺい率の関係で、太陽光パネルの容量も当初の予定から1kWほど縮小されました。

それでもS様は、「すべてを完璧にするよりも、自分たちの暮らし方と予算面から、本当に必要なものをきちんと選ぶことができました」と納得のいく選択に満足されていました。

マッチングコーディネータの視点!

ZEH仕様は冷暖房効率を高める上で非常に有効ですが、性能の数字だけでは語れない“設計の総合力”が問われます。
断熱が優れていても空調計画が不十分では意味がなく、逆もまた同じです。重要なのは、ご家族の優先事項に合わせて、断熱・設備・創エネのバランスをどう取るかです。

また、導入した設備も“正しく使い続けられるか”がポイントになります。設計・施工だけでなく、暮らし始めてからのアフターサポートまでしっかり対応してくれる依頼先を選びましょう。
「何を解決したいか」を家族で明確にすることで、家づくりの方向性がぐっと定まり、満足度の高い家づくりが実現できます。