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「冬も暖かく、家の中で上着を脱ぎたくなるような暮らしがしたい」──関東の喧騒を離れ、雪深い長野県北部に移住を決めたN様ご一家も、そう強く思っていました。けれど実際に家づくりを始めると、「雪」「冷気」「土地の条件」……想像を超える壁がいくつも立ちはだかりました。
寒冷地で家づくりをする時のポイント3つ!
・土地は“使う視点”で選ぶこと
・見えない部分への投資を惜しまないこと
・「暮らしてからの後悔」を設計段階で予防すること
N様が直面した「冬の不安」
移住を決めて家を建てようとしたとき、N様夫婦は次のような不安を抱えていました:
「せっかく買った土地だけど、雪が積もったらどうなるのか?」
「断熱や窓、換気をどうすれば寒さに勝てる家になるのか?」
「将来売るかもしれない家だから、『寒さが原因で価値が下がること』を避けたい」
これらは、寒冷地で家を建てる人なら誰もが通る悩みです。でも、N様はそれをひとつずつクリアにしていきました。
土地選びでの「小さな見落とし」が大きな違いに
N様が建築予定地を見に行った時、思っていたよりも日当たりが悪く、屋根の雪が自然に落ちにくくなりそうだと気づきました。そこで、打合せをしている工務店に一緒に現地へ行ってもらうことにして、以下のポイントを確認しました。
・隣家との距離を確認し、自然落雪が可能かを見極めた
・道路の除雪頻度や除雪車のルートを現地でチェック
・敷地の傾斜・向きが雪処理に活かせるかの確認
こうした事前の確認をプロと一緒にしたことで、後の暮らしがずっとラクになったそうです。
設計・仕様で「冷え知らずの家」を作る
土地を決めたあと、次のステップは家本体の仕様です。N様は地元工務店と何度も打ち合わせを重ね、以下のような仕様に決定しました。
・断熱性能:Ua値0.29前後の高断熱(HEAT20 G2〜G3に近づける)
・窓:トリプルガラスの樹脂サッシを全窓に採用し、熱の出入りを防止
・換気:全熱交換型の1種換気+調湿機能で、寒さ・乾燥・結露を一挙に対策
・屋根・雪処理:南向きの片流れ屋根+太陽光パネルを設置し、自然落雪できる角度で設計。敷地には雪捨てスペースも確保
これにより、真冬でもエアコン1台で18℃をキープでき、「朝の室温が冷蔵庫みたいじゃない」とご家族も驚いたそうです。
引っ越してからの実感
初めて迎えた長い冬、N様ご家族はこう話していました。
「朝起きても布団から出るのが怖くないほど暖かく、家全体が心地よい空気に包まれていました。雪下ろしの手間もほとんどなく、除雪作業によるストレスが大幅に減ったことも大きな喜びです。そして何より驚いたのが光熱費。当初の予想よりもかなり抑えられ、家計にも余裕ができました。」
窓回りの性能をあげておくことで、温度だけでなく湿度コントロールの大切さも実感されたとのことでした。
マッチングコーディネータの視点!
寒冷地での家づくりでは、「土地選び」の時点で結果の8割が決まると感じています。どんなに断熱仕様が優れていても、日射や除雪の条件が悪ければ本来の性能を活かせません。
また、「快適さ」と「資産価値」はセットで考えましょう。将来的に売る・貸すことも見据えて、外からは見えない性能の部分にもきちんと目を向けることで家の価値も高まります。
まずは、気になっている土地の「冬の日当たり」と「除雪状況」を、実際に現地でチェックしてみましょう。それだけで、土地選びの目が一段と養われます。