「やっぱりここに収納を増やしたい…」「この壁を引き戸に変更してつなげたいな」。注文住宅の打合せ中や建築途中に、ふと浮かぶ間取りの変更。ですが、実際に変更できるのか、その変更費用はどれくらいかかるのか、不安を抱える方は多いです。今回は、建築途中の間取り変更について、範囲や費用、そしてトラブルを防ぐための進め方を、N様の事例をもとに解説します。
知っておきたいポイント3つ!
・建築途中で変更できる箇所とできない箇所を知っておく
・間取り変更による追加費用の目安と予備費の考え方
・トラブルを防ぐための工務店選びと進め方
途中で気づく変更したい要望
間取りの打合せでは何度も図面を確認しますが、完成形を実際に体感できるわけではありません。
30代後半のご夫婦・N様も、間取り打合せ中には「これで完璧!」と思っていたのに、いざ工事がはじまり、骨組みが建ちあがった上棟後に現場を見て「子ども部屋の間仕切り壁を引き戸に変えて、しばらくは広い部屋として使いたい。将来必要になった時に分けられるようにしておきたい」と感じたそうです。
こうした気持ちの変化は珍しくなく、特に即座の判断が苦手な方や「住んでみないとわからない」と考える方は、不安が尽きません。現場でよくある間取り変更は、以下のようなケースです。
・収納や棚の追加
・コンセントの位置変更
・建具の種類変更
・窓のサイズや位置の変更
収納棚の追加やコンセント位置は変更しやすい一方で、構造に関わる柱や耐力壁の移動は難しく、工期や費用が大幅に増えることがあります。また、窓のサイズや位置変更については、2025年4月の法改正によってこれまで以上に慎重な対応が強いられています。あるお客様は、壁の位置をわずか30cm動かすだけで、構造計算のやり直しと建築確認申請の変更が必要となり、工期が2か月間延びました。
後悔しない進め方
建築途中の変更をスムーズに進めるためのポイントは3つあります。
●変更できる時期を把握する
窓やドアの位置変更は建築確認申請提出前まで、配線位置の変更は電気工事前までが限界です。早いタイミングで時期を確認しておきましょう。
●予備費をあらかじめ確保する
全体予算の5〜10%を「変更・追加工事用」として確保しておくと安心です。
●契約前に変更ルールを確認する
工務店によっては、着工後の変更は一切不可という場合もあります。事前に明文化してもらいましょう。
N様は当初、「図面をすべて確定してから発注するタイプの工務店」を検討していました。しかし、依頼先を決定する前の打合せを重ねる中で、「建築途中でも一部変更が可能」という柔軟な対応ができる工務店を選ぶことにしました。
理由は、実際の現場を見ながら細かな調整ができる安心感と、変更時の費用が明確に提示される点に信頼が持てたからです。
実際にN様は、建築途中で収納棚を追加しました。また、子供部屋の間仕切り壁も、将来の使い方を見据えて工務店が構造壁にしない設計としていたため、引き戸への変更もスムーズに実現。工期が延びることもなく、予備費の範囲内で対応できました。
マッチングコーディネータの視点!
「柔軟性のある工務店=何でもできる」ではありません。重要なのは、
・どこまで変更できるか
・その変更にかかる費用と工期への影響
・発注・施工のタイミング
などを最初から明確にしてくれる工務店かどうか。
また、工務店の現場監督が変更対応に慣れているかも大きなポイントです。
「着工後の変更範囲と費用ルール」を質問してみること。
これだけで、後悔や予算オーバーのリスクをぐっと減らせます。