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子どもを見守りながらの家事・・・多くの子育て中の家庭にとって、毎日の“当たり前”ですが、その裏には小さなストレスが積み重なっています。
今回ご紹介するのは、2歳と4歳の兄妹を育てるIさんご夫婦。注文住宅の計画中、「料理中に子どもの様子がわからないのが不安」という悩みを抱えていました。そんなIさんが選んだ“見守りやすさ”を大切にした間取りの工夫をご紹介します。
「料理中に姿が見えない」それだけで不安になる日々
共働きのIさん夫婦は、夕方の家事ラッシュが最も忙しく、かつ子どもたちにとっても疲れが出てくる時間帯。以前の賃貸マンションでは、キッチンが壁付けだったため、背後のリビングにいる子どもたちの様子を把握できず、小さなケガやケンカが起きても気づくのが遅れがちでした。
「“ちょっと静かだな”と思って振り向いたら、妹が泣いていたことがあり、ヒヤッとしました。見えないって、こんなにストレスなんだと思いました。」
「キッチンから見守れる」って、実は一通りじゃない
注文住宅では「子どもを見守れる間取りにしたい」という要望は非常に多いですが、見守り方にはいくつかのパターンがあります。
- キッチン中心型:キッチンからLDK全体が見渡せる設計。アイランド型・ペニンシュラ型が代表例。
- 視線の工夫:プレイルームや和室とリビングを隣接させ、窓などで視線が届くようにする。
- 一体化設計:ダイニング・リビング・子どもコーナーを緩やかにつなぎ、どこからでも気配が感じられるようにする。
Iさん夫婦が選んだのは、キッチンを中心に回遊性のある一体型LDKとし、その一角に子どもの遊び場を設けるスタイルでした。
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「見守りたい」気持ちはみな同じですが、その見守り方の“感覚の違い”は案外ご夫婦の間でも差があります。
これまでの経験では、
- ご主人は「声が届けば安心」
- 奥様は「目が届かないと不安」
というように、安心の定義が違うことも少なくありません。
だからこそ、設計打ち合わせの前に「どんな場面で不安になるか」「どこまで見えていたいか」を家族で具体的に共有しておくことが、間取りを失敗しない第一歩になります。
Iさんが選んだ「見守れる間取り」とその後の変化
Iさんの完成したお家は、キッチンをLDKの中心に配置。その目線の先に、プレイコーナーをつくりました。子どもたちがそこで遊ぶ様子は、料理中でも視線の先に常にある状態です。
また、プレイコーナーは将来的にスタディスペースに転用できるよう、照明とコンセントも整えました。
「ごはんを作りながら“ちゃんと見えてる”安心感があると、自分の気持ちにも余裕ができました。プレイコーナーは2人のお気に入りの場所になっています。」
「子どもを見守る間取り」は、“暮らしの安心感”の土台になる
注文住宅では、間取りの自由度が高いからこそ、家族の不安や希望を具体的に整理しておくことが大切です。Iさんご夫婦のように、「どうすれば、安心して家事ができるか」という視点で暮らしを見つめ直すことで、理想に近づく設計のヒントが見えてきます。
子どもと過ごすかけがえのない日々を、少しでも笑顔で過ごせるような住まいづくり。その第一歩は、“見守り方”を家族で話し合うことから始まります。