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火災保険とは、火事や台風、水漏れなどによる損害を保証する保険です。
もらい火(類焼)でも、自分の家は自分の保険で再建
日本は木造家屋が多いため、いざというときには火災の被害が大きく、失火者に全ての責任を負わせるのは難しいとの理由から、重大な過失がない限りは失火者に責任を問うことができないと「失火責任法」により定められています。
つまり、もらい火(類焼)によって家が燃えてしまった場合でも、自分の家は自分の保険で再建しなくてはなりません。
かつての金融機関では、住宅が火災などによって滅失した場合でも住宅ローンの残金を回収できるように、火災保険の保険金請求権等に質権を設定することが融資条件に加えられていました。
しかし最近では質権の設定が不要になり、火災保険の加入も任意となっているため、施主にとっては選択肢の自由度が高まった一方、施主自身でリスク管理をする必要性が高まりました。
保険料を決める4つの要素と、建物構造による割引
火災保険料は、保険金額・保険料率・保険期間・地域によって算出されます。
さらに、建物の構造も保険料を大きく左右する重要な要素です。
火災保険では建物の耐火性能に応じて「構造級別」が設けられており、戸建住宅の場合はT構造(耐火構造)とH構造(非耐火構造)の2区分に分類されます。
一般的な木造住宅はH構造となりますが、省令準耐火構造の建物はT構造として扱われ、保険料が通常の木造住宅と比べて半分程度に抑えられます。(出典:一般社団法人日本木造住宅産業協会)
省令準耐火構造とは、独立行政法人住宅金融支援機構が定める耐火基準を満たした建物で、木造軸組工法・枠組壁工法・木質系プレハブ工法に適用が可能です。
T構造とH構造では保険料に約2倍の差が生じます。長期にわたって支払い続ける保険料であるため、その差は累積で見ると無視できない金額になります。
省令準耐火構造への対応は工務店によって異なります。設計段階で確認しておきたいポイントのひとつです。
火災保険とは、火事や台風、水漏れなどによる損害を保証する保険です。
火災保険の保険期間は最長5年
保険料を決める4つの要
火災保険の保険期間は最長5年です。かつては住宅ローンの借入期間に合わせた長期一括払いも可能でしたが、近年多発する自然災害による保険金支払いの急増を受けて、2015年に最長10年、2022年10月からは最長5年へと短縮されました。
最長契約期間が5年になったことは、単に「短くなった」だけではありません。
住宅ローンは35年程度であるのに対して、保険は5年ごとの更新のたびに保険料率が見直されます。
つまり、保険料が上がり続けるリスクを繰り返し受けることになるという意味でもあります。
実際、保険料の目安となる参考純率(損害保険料率算出機構が算出)は、2019年・2021年・2023年と立て続けに引き上げられており、2023年6月の改定では全国平均で13.0%の引き上げとなりました。
これを受けた2024年10月の各社の保険料改定は、過去10年間で最大の引き上げ幅となっています。(出典:損害保険料率算出機構)
更新時に保険料が大幅に上がる可能性があることを、あらかじめ資金計画に織り込んでおくことが重要です。
また更新のタイミングは補償内容を見直す機会でもあります。ライフステージの変化に合わせて、補償範囲や家財保険の金額を再確認することをお勧めいたします。
見直しの具体例のひとつが、水災補償です。水災リスクの料率は2024年10月の改定より市区町村単位で5段階に細分化されました。自宅周辺のハザードマップで浸水リスクが低いと判断できる立地であれば、水災補償を外すことで保険料を抑える選択肢もあります。土地選びの段階からハザードマップを意識しておくことが、保険コストの観点からも有効です。
火災保険に入るタイミング
新築住宅の場合、火災保険は引き渡し日から加入するのが基本です。
建物の所有権が施主に移るのは引き渡し時点であるため、それ以前の建築中に火災が発生した場合は、原則として工務店側の責任・保険で対応することになります。
引き渡し日が確定したら、それに合わせて保険の始期日を設定しておきましょう。手続きには時間がかかるため、引き渡しの1〜2ヶ月前には相談・見積もりを始めておくのが安心です。
また、複数の保険会社で相見積もりを取り、提案された内容をそのまま鵜呑みにせず、自分に必要な補償を自分で選ぶ姿勢が求められます。
火災保険の保険金は、契約時に選んだ評価基準によって算出されます。基準には「再調達価額(新価)」と「時価」の2種類があります。
再調達価額とは、損害を受けた建物と同じものを新築・再取得するのに必要な金額です。現在の新規契約ではこちらが主流です。
一方、時価とは再調達価額から経年劣化・消耗分を差し引いた金額で、築年数が経つほど評価額が下がります。時価基準で契約した場合、築20年・30年の建物が全焼しても、受け取れる保険金は建て直し費用を大きく下回る可能性があります。
かつては時価基準が一般的だったため、長期契約の方は時価基準のままになっているケースもあります。保険証券でのご確認をお勧めいたします。
再建築費用が不足するリスクに備えるには、「価格協定付き火災保険(新価特約)」の活用や「家財保険」の追加もあわせてご検討ください。
地震による火災は火災保険では補償されない
地震・噴火・津波を原因とする損害は、火災保険では補償されません。
これらに備えるには、火災保険にセットする形で地震保険に加入する必要があります。
なお、火災保険の契約期間の途中から地震保険を追加することも可能です。
地震保険には、建物の免震・耐震性能に応じた以下の4つの割引制度があります。
・免震建築物割引(50%)
・耐震等級割引(耐震等級3で50%、等級2で30%、等級1で10%)
・耐震診断割引(10%)
・建築年割引(10%)
複数の割引に該当する場合でも重複適用はできず、最も割引率の高いものが1つ適用されます。
注目したいのが耐震等級3で受けられる50%割引です。地震保険は長期にわたって支払い続けるものであるため、累積額で見るとこの割引の効果は大きくなります。
ただし、耐震等級には「取得」と「相当」の2種類があり、地震保険の割引を受けるには、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく住宅性能評価書など、所定の書類が発行された「取得」が必要です。
工務店によっては「耐震等級3相当」を標準仕様として打ち出しているケースもありますが、割引を受けたい場合は「取得まで対応しているか」を必ず確認してください。
相当と取得では、保険コストに長期間にわたる差が生じます。
また、長期優良住宅の認定条件には耐震等級2以上が含まれており、認定された建物も耐震等級割引の対象です。
耐震等級3の取得に対応している工務店は長期優良住宅の申請にも慣れていることが多く、書類手続きもスムーズに進みやすい環境が整っています。
なお、地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30〜50%が上限です。
建物に2,000万円の火災保険をかけていても、地震で全壊した場合に受け取れる地震保険金は最大1,000万円となります。
この上限を踏まえた上で、再建資金の計画を立てておくことが重要です。
火災保険は建物の評価額に対して保険金が支払われる
火災保険は建物の評価額に対して保険金が支払われるため、15年後、20年後に新築当時と同じ金額の保険金は支払われません。
火災保険の保険金だけでは、再建築の資金をまかなえないことがあるため、再建築の資金を基準として保証する「価格協定付き火災保険」を採用したり、火災保険に加えて「家財保険」を追加しておくことも考えられます。
見落とされがちな火災保険ですが、保険会社から提案された保険の内容をそのまま鵜呑みにするのではなく、今回の改定を機に内容をきちんと確認し、補償内容の見直しを行なったり、相見積もりを取ったりして、万が一に備えましょう。
地震による火災は火災保険では補償されない
地震、噴火、またはこれらによる津波を原因とする損害(火災・損壊・埋没・流失)は、火災保険では補償されないため、地震などによる損害に備えるには地震保険に加入する必要があります。
地震保険は単独では加入できないため、火災保険にセットして加入しなければなりません。なお、火災保険の契約期間の途中でも地震保険に加入することができます。

