「建築途中に建築会社が倒産してしまったらどうしよう」とご不安に感じる方もいらっしゃると思います。
建築会社と工事請負契約を結び、その会社が着手金や中間金を支払った後に倒産してしまった場合、支払い済みの代金が返還される可能性は極めて低くなります。
また、中断した工事を別の建築会社に引き継いでもらうには、倒産した建築会社が設置した足場の撤去工事費なども必要です。
建築の途中で建築会社が倒産してしまった場合には、それまでに支払った費用の損害だけでなく、中断した工事を完成させるための費用も必要になるため、当初に契約した建築費以上に多額の費用を要してしまう恐れがあります。
完成保証はこうした事態に対応し、損害を最小減に留めるための保険です。
完成保証は、「工事の引継ぎによって増えてしまった費用を当初の請負金額の○%を限度額として保証する」、「前払金と工事の出来高に差額が生じてしまった場合の損害を保証する」、「工事を引き継ぐ建築会社を斡旋する」など、それぞれの保証機関によって保証の対象や内容、限度額などが異なります。
また、保証内容だけでなく、完成保証の適用を受けるために必要な保証料も各保証機関によって様々です。
完成保証を受けるにあたっては、以下の点にご注意ください。
(1)建築会社が完成保証会社に加入しているかを確認する
まずは、建築会社が完成保証会社に加入しているかどうかをご確認ください。
よく「完成保証は使えますか」と建築会社に尋ねると、瑕疵保証と間違えて「使えます」と回答されてしまう場合があるのでご注意ください。
さらに完成保証はすべての建築会社が利用できるわけではなく、財務内容等が一定の水準にある建築会社しか利用することができません。
建築会社から「今は使えないけど、申請すれば大丈夫」という回答があったとしても、完成保証を利用するためには、完成保証会社の所定の審査を受け、加入を認められる必要がありますので、建築会社の財務内容が芳しくない場合は加入を認められない場合があります。
審査内容は完成保証会社によって異なりますが、一般的には損益計算書、貸借対照表等の財務諸表、業務実績、代表者の面接を経て、審査基準を満たした建築会社だけが加入を認められます。
また、完成保証会社に加入できたとしても、完成保証を付けられる年間の棟数に限度があったり、審査基準に適合しているかどうかの審査が1年ごとに必要です。
(2)保証内容について説明を受ける
ひと口に完成保証と言っても、その保証会社によって内容は様々です。
建築会社によって加入している保証会社が異なりますので、特に保証の対象と限度額、保証料、免責事項を十分にご確認ください。
詳しくは、下記の<参考>に完成保証を提供している主な保証機関をあげましたので、ご参考にご覧ください。
(3)建物が完成保証の適用を受けるための申請を行う
完成保証に加入している建築会社と契約を結んだからと言って、その建物に完成保証が適用されるわけではありません。個々の建物ごとに完成保証の申請を行う必要がありますので、建築会社を通じて保険の加入手続きを行ってください。
完成保証は、施主が自らのリスクを軽減するための保証ですので、保証料は施主が負担することになります。完成保証の適用を受けるための料金は様々です。一般的な住宅の場合は10~15万円前後に収まるケースが多いようですが、請負契約金額に比例し保証料が高額になる場合もあります。
<参考>
・住宅保証機構(株)
・(株)日本住宅保証検査機構(JIO)
・(株)住宅あんしん保証