ハウスメーカーのメリット・デメリット

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大手ハウスメーカーが当初から規格化・工業化住宅を販売する目的で設立されたのに対し、一般的にハウスメーカーと言われている企業の中には、工務店が発展・派生した結果、規格住宅を販売するようになった住宅会社もあります。

これらの住宅会社は総合住宅展示場に出展したり、テレビコマーシャルを放映しているため、一般的に大手ハウスメーカーと同じイメージが持たれていますが、地域を限定して事業展開している住宅会社は「巨大化した地域工務店」の性質が強く、フランチャイズ展開している企業グループも実際は地域工務店が請負うことになりますので、ハウスメーカーとは区別して考えるのが妥当です。

ここでは、「工業化(プレハブ化)または建築資材の一部を規格化することによって、注文住宅の大量生産を全国規模で展開している会社」をハウスメーカーと定義して説明をします。

(1)コスト

ハウスメーカーは元来、住宅の低コスト化を図るために考え出された方法なだけに、原価としてのコストは大変安いといえます。
ただし、ハウスメーカーは数を売ることが事業構造的にも重要なため、工務店や建築家に比べて広告費や展示場の建設・維持費、営業マンの人件費などに多額の経費を投入します。
公表されている資料によりますと、実際の工事費は価格の58%に過ぎませんが、これらの営業経費が30%ほど上乗せされますので、結果として絶対的に優位といえるまでの安さにはなりません。

また、ハウスメーカーの規格内でおさまる住宅はコストパフォーマンスが期待できますが、規格を外れれば外れるほど建築コストが上昇するのが特徴です。

規格を外れる原因としては、建て主の要望の他にも、都市圏の狭小地不整形地などは、斜線制限や近隣との調整によって建物の形が複雑になりやすく、結果としてコストが上がってしまいます。

よって、「広く形の整った土地が多い地方では比較的安く、狭く形の複雑な土地が多い都市部では比較的高い」というのが、よく言われるハウスメーカーのコストの特徴といえます。

なお、ハウスメーカーが「坪○○万円」と表示しているのは本体価格のみの価格であることが多く、多くの工務店や建築家の表示方法とは異なるケースがありますので、最終的なトータルの見積りを比べてみないと単純比較はできません。

(2)設計の自由度とデザイン

ハウスメーカーは規格住宅という前提ですので、設計の自由度は低い所があります。オプションや色の選択肢を増やしたり、仕様の幅を持たせている商品もありますが、規格住宅である以上、完全な自由設計にはなりません。ただし、ほとんどの建て主にとってはハウスメーカーのもつ設計の自由度で十分である場合が多く、何を望むかによっては、設計の自由度が低いことが即デメリットということにはなりません。

また、ここ最近デザインに力を入れているハウスメーカーも多く、大規模なマーケティングと開発体制によってデザイン開発を行うため、多くの方の好みに合う仕様を取り揃えています。これらの建材等を大量に一括して仕入れたり、ハウスメーカーの独自商品を開発することで、価格的にもコストパフォーマンスのいい仕様を揃えています。

しかし、デザインを「個性」という点で捉えるならば、数を売ることが必要なハウスメーカーでは、最大公約数の施主に受け入れられることを考えざるを得ないため、やはりデザインの展開には限界があります。

結局、ハウスメーカーの本質は、住宅を規格化・工業化することによって量を売り、コストを下げることにありますので、自由度や個性は最も犠牲にせざるを得ない要素であり、そのトレードオフの関係を理解してこそハウスメーカーの家のメリットを享受できることができます。

(3)品質

ここでは、「欠陥住宅になりにくい」「手抜き工事を防ぎやすい」という視点で品質を考えて見ます。

ハウスメーカーの住宅は規格化・工業化の比率が高く、現場による施工精度のばらつきは少ないと言えます。欠陥住宅や手抜き工事が発覚した場合のインパクトも非常に大きいため、欠陥住宅になるほどの手抜き工事を積極的・意図的に行う動機は働きません。

一方、欠陥住宅を防ぐためには「監理」を厳密に行うことが大切です。しかし、通常ハウスメーカーの家の施工は提携工務店と呼ばれる下請け工務店が行ない、基本的な仕様が決まっているため、一度それを覚えてしまえばあまり厳密な監理はせずとも失敗はない、という油断が生じがちです。
実際、ハウスメーカーの欠陥住宅は総体的に少ないといえますが、油断や過失からの欠陥住宅が報告されることもあり、それを防ぐための客観的に検証可能なシステムが待たれるところです。

(4)保証

施工者は、品確法によって竣工後10年間の瑕疵保証や、住宅瑕疵担保履行法によって資力確保措置(瑕疵保険への加入または保証金の供託)が義務付けられており、それはどの依頼先でも変わりありません。また、20年保証など、会社によって独自の保証をつけている場合もあります。
特に大手ハウスメーカーは上場企業も多いため、保証期間内に会社が消滅してしまう可能性が低く、比較的安心して将来の保証を期待することができます。

(5)ローンの組みやすさ

量を扱うハウスメーカーと金融機関は取引件数も多く、流れ作業的にスムーズにローンを組むことが可能です。また、グループ内に金融機関があるハウスメーカーもありますので、最もローンの組みやすい依頼先といえます。
ただし、最近の融資審査では、借りる本人の信用力により比重が置かれますので、最終的に借りられるかどうかはあくまでも建て主本人の信用次第ということになります。

・品質と企業の安心感とは引き換えに、自由度と個性に制約がある。
・一般に、地方では比較的安く、都会では比較的高い。
・大企業が多いため、保証の安心感やローンの組みやすさなどが期待できる。
(矢野)
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