分離発注とは(1)

分離発注できませんでした
名前:トマトさん(2003/10/14)
当初は分離発注でというお話でしたが、
結局、電気工事や水道工事を分離発注にできませんでした。電気屋さん水道屋さんの抵抗?

そもそも、事務所は分離発注でなくても分離発注でもどちらでも良いという話だったのですが、そうであれば
なぜ分離発注でという話だったのでしょうか?

分離発注が事務所を決めた大きなポイントだったので
今もって???な気がしています。

分離発注ではないことで、私たちはデメリットを受けたのでしょうか?

分離発注とは・・・
名前:ザ・ハウス(2003/10/17)
トマトさん、こんにちは。

最近、どうやら「分離発注」という言葉が独り歩きしているようです。
それも、魔法の杖のようにメリットばかりが強調されているようですが、もう少し考えてみる必要があります。

通常、工務店はほとんどの工事を外注し、工務店がそれらのさまざまな2次業者をしきるわけですが、工務店を入れずに施主が直接2次業者と契約し、工務店の変わりに設計事務所が工事を仕切ることを分離発注といいます。(本当は分離発注とはいろいろな意味で使われますが、このような定義を前提にお話いたします)

2次業者が請求する工事代金に、工務店がマージンを乗せますので、直接契約すればマージンがかからず、それがメリットだということのようです。

しかし、もう少し考えてみると、むしろデメリットの方が多いことが分かります。

(1)工事の段取りや日程、業者間の調整など、工事を仕切るということは、いい施工をつつがなく行う上で大変大切なことであり、その能力が、工務店より建築家の方が高いというのはまったく根拠がありません。
むしろ、経験や2次業者との信頼関係ということで言えば、圧倒的に工務店の方が上手です。
誤解を恐れずに申し上げれば、工務店と同じレベルで工事をしきれる建築家は、数も数えられないくらいのほんの一握りであり、ことの重大さを理解している信頼の置ける建築家は、軽々に分離発注を引き受けません。

(2)工務店を通さなければマージンがかからないというのも幻想です。
工事を仕切ることはそれ相応の労力が必要であり、たとえ建築家にその能力があるとしても、ボランティアで引き受けることはありません。
結局、工事全体を仕切るための費用というのは、施主本人が行わない限り、必ずかかってくるものです。

(3)ローン組みや契約など、事務がかなり煩雑で、仕事をお持ちの施主にはかなりの負担です。それを設計事務所が代行するのであれば、まさに工務店が設計事務所に取って代わっただけで、何のメリットもないばかりか、建築家の家の一番のメリットである、工事監理を施工者以外が行うという部分が台無しになってしまいます。

(4)工事後のメンテナンスも、いちいちそれぞれの業者とやり取りをしなければならず、手間がかかるうえに、一度きりの取引相手は後回しにされることも考えられます。

結局、分離発注というのは、2次業者の金額が分かって透明性が高いというだけで、実際の効能としてはデメリットの方がはるかに多いというのが実情だと考えます。
トラブルが起きたり、工事が遅れる確率も大変高く、それらはコストに直結しますので、かえって総額が膨らむことの方が多いのではないでしょうか?

あえて言えば、工事代金の不透明さに対する一石として分離発注が意味するところはありますが、個々の施主にとっては人柱になってしまうリスクを負ってまで、やるものではないと感じます。

ただし、古屋の取り壊しや、クーラー・システムキッチンなど購入・取付など、他の工事とまったく絡みのない工事や後付の設備は分離発注しても問題なく、日常的に良く行われています。

トマトさんのケースはどの程度の分離発注かは分かりませんが、電気工事や水道工事を分離発注するにはリスクが伴いますので、結果としては良かったかもしれません。

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