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風趣を添える住まいの折々

変化する寛ぎ方

変化する寛ぎ方

グランピングが流行る理由

最近ではグランピングという言葉を耳にします。グラマラス/Glamorous(魅力的な)とキャンピング/Camping(キャンプ)を組み合わせた造語です。自分でキャンプ道具やテントを用意する必要がなく、豊かな自然の中でホテル並みの豪華で快適なサービスが受けられる、新しいキャンプスタイルです。

20年前アフリカを旅行した時に、名のあるホテルでなぜコテージよりもテント泊のほうが高いんだろう?と疑問に感じたことがありました。今思うと、まさにグランピングだと理解できるのですが、当時はテントと言えば河原でのキャンピング用テントしか思い浮かばず、寛げるイメージを持つことができませんでした。

一般的に高級ホテルに求める条件と言えば「完全に閉ざされた非日常空間」ですが、日本でも高級ホテルがグランピング形式を取り入れ、今では予約がとれないほど人気を博しています。

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これまでの核家族だけの意図的に閉ざされた空間は一時の寛ぎをもたらしますが、長い年月を過ごすとどこか違和感を感じ始め、現在の風(外気)や景色、音を取り入れる寛ぎ方が出てきたのではないでしょうか。

街とのつながり方の変化

核家族の閉ざした寛ぎから、自然を取り込み、近隣を招いて寛ぎを共有する時代へと変わりました。さらに最近では、近隣や街と積極的なコミュニケーションを求める若い世代の方が増えています。繋がり方の程度は人それぞれです。この加減を間違えてしまうとストレスばかりになってしまいますが、建築家はその住まい手の一番快適な街とのつながり方を導き出します。

人が求める本質的な快適性は、実はずっと変わらないのかもしれません。時代とともに行き過ぎた形になると、反対側の快適性を求めてバランスをとろうとするように。

高気密高断熱時代の快適性の次には、外気や熱は勿論、近隣、街との距離が物理的にも心理的にもシームレスな家が求められ始めています。さらに時代が成熟した先には、また逆に振れるのか、進化に繋がるのか。もしかしたら、どんどん剥ぎ取られて最後に残るのは「古き良き時代」のおおらかさ、不便さも不具合も悪くない、という考えの寛ぎ方に繋がっていくのかもしれません。

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