住宅とIoT

2018年7月3日

IoTと住宅に寄せる期待

生活者に寄り添ったオープンネットワークを

矢野 暁

ザ・ハウス マッチングコーディネーター

1969年、神奈川県出身。 ハウスメーカー、建築プロデュース会社を経て、(株)ザ・ハウスのマッチングコーディネータに就任。住宅、不動産業界に23年間従事し、住宅会社選びやトラブル解決等の相談実績は2500組を超える。「建築知識」、「建築・法律トラブルらくらく回避マニュアル」等の実務者向け書籍の寄稿も多数。

筆者

矢野 暁

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私たちが抱える実生活の課題

では私たちはどのような問題が解消されるとIoTを便利に感じるのでしょうか。いったんIoTから離れて、最近、私自身が生活の中で身に染みて感じている課題、家づくりの現場でお客様から聞えてくる声について考えてみたいと思います。

●板挟みにある働き盛り世代

個人的な話で恐縮ですが、私は会社に比較的近く、家内の実家にも近い場所に住居を構えています。これは夫婦共働きでまだ子供が小さい我が家としては、そうせざるを得なかった選択です。
さらにそれぞれには70代後半の親がおり、特に私の両親は、母が寝たきりの父を介護している状況です。

我が家にとっては、私と妻の仕事、日常の家事、子育て、高齢の両親の介護をどのように限られた時間の中で無理なく成立させていくかは、大変重要な問題です。

今の所、時間に追われながらも何とか成立している状況ですが、もしこのバランスが崩れてしまったら…と考えることが年を追うごとに増えてきました。我が家と同じような問題を抱えているご家庭も、少なくないのではないでしょうか。

●「支え」を求める輪の広がり

お客様から家づくりのご相談を受けていると、家に求めていることは本当にその方によって様々だということを思い知らされます。
一方で多くのご相談を受けていると、まれに変化の兆しとなるような傾向が見えてくることがあります。その一例として、最近、特によく伺うようになったご計画を紹介します。

それは「祖母と孫世帯」、「叔父と甥世帯」といった親族同居住宅の計画です。

従来の二世帯住宅のように親子を基本とした同居ではなく、孫が祖母の面倒を見るための住宅を建てる、甥が叔父の面倒を見るための住宅を建てる、といった計画です。これまではあまり聞かれなかった計画ですが、最近、特によく伺うようになりました。

親族との同居を考えるのも、親子での同居を考えるのと同じように、孫や甥などの親族が単身の高齢者の生活を支え、同時に住居を構える経済的負担を軽減したい等、いくつかのお互いのニーズが一致すればこその選択だと思います。
この点においては、親族との同居も親との同居も大きな違いはありませんが、私が関心を持ったのは、親子よりも緩い対象に同居の輪が広がっているという点です。

自分が抱えている課題、そして家づくりの現場で聞えてくるお客様の声から、私たちの生活を支え合うパートナーの対象は否応なしに「濃いつながり」から、親族やこれらの役割を代替するサービスなどの「緩いつながり」へと広がっていくのではないか、と想像しています。