風趣を添える住まいの折々

2018年6月9日

美しい曲線

川村 利恵

ザ・ハウス マッチングコーディネーター

1969年、埼玉県出身。住宅業界歴20年。アトリエ系設計事務所、不動産会社の企画部門に勤務の後、2007年に(株)ザ・ハウスのマッチングコーディネータに就任。二級建築士と福祉住環境コーディネータの資格を持ち、特に建築家との家づくりに関して豊富な実績がある。これまで796組の相談実績を有し、195邸の家づくりに携わる(2017年10月末現在)。

筆者

川村 利恵

柱、梁、建具など家は直線で構成されるのが一般的です。でも家に曲線があったとしたら、どうでしょう。

日常にある曲線

家の中の曲線と言えば、よく見かけるのは丸窓や出入口の上部にあるアーチ状の弧。インテリアのデザインとしても人気がありますよね。柔らかい印象だったり、かわいらしい印象を与えます。

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こうした割り出しやすい円や半円などの弧には直線に近い安心感があります。

四角い出入口と比べると手間はかかるものの、図面を見て説明を聞けば、どんな形になるのかが想像できます。それは作り手にとっても同じ。想像がしやすいものは、施工もしやすいものです。

ドキドキする曲線

では同じ曲線でも、それが今まで見たこともないような、これまで出会ったことがないようなアールを描く曲線だったとしたら、どうでしょう。

「その部屋は落ち着くのだろうか?」
「どんなイメージになるのだろう」
「どんな光や影が差し込んでくるのだろう」

と、心がざわつき、躍ります。

これまで見たことがないものに出会った不安と、体験を超えた先にある大きな期待とが入り混じったような感覚です。これは「わくわく、ドキドキ」と言われる感覚に近いかもしれません。

これまでの体験を超えるものはそう簡単にできるものではありませんから、作り手側にとって必ずと言っていいほど生みの苦しみが伴います。

例えば、車のボディラインは、デザイナーが何度も何度も原寸大模型を削っては足してを繰り返し、美しく流れる曲線を産み出すと言います。

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それは、試行錯誤の中で生まれた「偶然の巡り合わせ」のようにも感じられます。そう思うと、偶然に導かれたかのようなもの、ここにしかないものを愛おしく思う感情が芽生えてきます。

「美しい」って、「自分の想像力を超えたものに、愛おしさを感じた時の感情」なのではないかと最近思っています。

私にとってはその最たるものが「曲線」ではないか、と。