2017年9月10日

雨の情緒的な心地よさ

川村 利恵

ザ・ハウス マッチングコーディネーター

1969年、埼玉県出身。住宅業界歴20年。アトリエ系設計事務所、不動産会社の企画部門に勤務の後、2007年に(株)ザ・ハウスのマッチングコーディネータに就任。二級建築士と福祉住環境コーディネータの資格を持ち、特に建築家との家づくりに関して豊富な実績がある。これまで796組の相談実績を有し、195邸の家づくりに携わる(2017年10月末現在)。

筆者

川村 利恵

パラパラと屋根から落ちる雨。

室内から庭の方を眺めると、フィルターがかかったように、一枚のレイヤーが入ったように雨のこちら側と向こう側とで異なる世界。

雨の情緒的な心地よさ1

雨のレイヤーの向こう側には、庭の、草木の、いつもの様子よりも妙に艶っぽさが増した風景を臨むことができます。この艶っぽく見える感覚を、私はあえて情緒と呼びたいのです。そしてこの情緒感がたまらなく好きなのです。

雨の情緒的な心地よさ3

この情緒的な景色を演出するために、建築家は雨どいを景色から排除します。見えない裏手や、時には壁の中に隠すこともあります。

せっかくの綺麗な景色の中に樋の塩ビ管や留め金が見えてしまうと、雨が織りなす景色の美しさが半減してしまうことを知っているからです。

ぜひ街を歩くときに樋を捜してみてください。
樋が見えない家はどこかすっきりした印象になっていることがおわかりいただけると思います。

雨の情緒的な心地よさ2

時には、樋をつけずに雨をそのまま軒先から落として情緒を演出します。
乱暴に軒先から雨を落としただけではかえって不快なばかりですが、雨粒が綺麗なレイヤーとなって流れ落ちるように屋根勾配(雨の通り道)に配慮し、雨粒の向こう側に幾重にも重なる美しい風景と情緒を生み出します。

(川村)