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ザ・ハウス社長 矢野が考える、2020年の住宅市況

ザ・ハウス代表 矢野

ザ・ハウスとして変わったこと -オンライン対応-

加藤:ザ・ハウスとして変えたことってありますか?

矢野:スタッフの感染リスクを低減するために、2月に意思決定をして3月に一気にリモートワークに切り替えました。スタッフ間の関係が練れていたので、リモートワークになっても業務上の問題はありませんでしたし、むしろコミュニケーションが円滑になって、チームの効率が上がりました。

お客様に対しては、それまでご来店のお客様だけに対応していた建築家マッチングサービスにオンラインを導入しました。実際に導入してみると、オンラインよりもご来店したいというお客様が多かったことは意外でしたね。そのため感染症対策を十分行い、原則として同時刻には一組のみご予約を受け付ける形で、オンラインと並行してご相談を受けています。

加藤:お客様との打合せにオンラインを導入してみてどうですか?

矢野:これはサービスをご提供する私共の側に課題があるのですが、お客様のご判断のスピードが大きく違います。ご来店いただいて、直接ご面談された方の方が、ご決断のスピードが早いです。

常々思っているのですが、初対面の人とお会いした際に、平面から伝わる情報量と、物理的に同じ空間にいる時に得られる情報量とでは大きな差があるように感じています。これはウェブミーティングの時だけではなくて、例えば、住宅を写真で見るのと、実際にその住宅の空間に身を置いてみるのとでは、得られる情報量がまったく違うのと似ています。

今後もオンライン・ご来店のどちらも対応していこうと考えていますが、単に対面に代わる手段としてオンラインをやっても、お客様には十分な情報が伝わりません。仮にオンラインとリアル(面談)との間に、情報量に10倍の差があるのであれば10倍の情報を提供しなければいけないと思っています。

もちろんリアルで伝えられることとオンラインで伝えられることは違うという前提で、何かしらの工夫をしなければいけないという意味です。そこはずっと課題にあげていきたい点ですね。

きっと皆さんもお仕事などを通じてオンラインとリアルの違いを体感しているんじゃないかと思います。コロナ禍ではオンラインにどっと流れが向きましたが、リアルの価値が相対的に見直されていく揺り戻しを感じています。

今年気になったこと -動画での情報収集-

加藤:今年気になったことってありましたか?

矢野:皆さんも家にいる時間が多くなって、以前にも増して家にちょっとした不満を感じたり、住まいの情報に触れる時間が増えたのではないかと思います。

僕自身もスマホでYouTube等で情報を得る機会が増えましたし、皆さんも直接供給者と接点を持たなくても、オンラインで住宅の知識が得られる機会が増えたのではないかと思います。

色んな方が色んな意見を持ち、それを発信するのは良いことだと思うのですが、誰でも手軽に情報発信ができるようになっただけに、受け手の皆さんにはより情報を見る目が必要になると思います。

注文住宅に関して言えば、誰にでもあてはまる唯一、絶対の答えはありません。例えば、断熱材の選択肢には種類や厚さ、メーカー、またそれに関連する施工方法などの組み合わせが無数にあり、予算や工法との相性、施工精度等、それぞれのお客様の状況や目的によって選択する手段は変わってきます。

でもYouTubeで動画を見ていると、「○○は危ない!」「○○は選ぶな!」みたいなセンセーショナルなタイトルを目にします。

注目を集めるためには必要なことなのかもしれませんが、ミスリードの可能性を考えるとちょっと危険ですよね。本来はそれぞれのお客様の状況や目的に応じて、総合的なバランスの中で決まっていくもの。断熱材の種類一つをとってこれがいい悪いの議論をしてもほとんど意味がありません。

もしそれを言っているような表現を見たら、情報配信者側に何かに誘導したい意図があるか、単に注文住宅に関する見識が乏しいかのどちらかだと思った方がいいですね。

動画やウェブサイトで住宅系の知識を得る方も増えたと思うので、センセーショナルなタイトルや内容はいったん「本当かな?」という視点を持ってみることが大事だと思います。