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防音室のある住宅

家の中に防音室が欲しいと思っている方は意外と多いと思います。

ホームシアターや音楽スタジオなど、用途によって防音室はいろいろなバリエーションがあり、また金額も安くはないことから、家づくりの最初からしっかりと計画を立てて予算を計上することが大切です。

家を建ててから防音室をつくったり、防音性能が足りないのでつくり直すことになると、家の建築時につくるよりも高額なコストがかかることが少なくありません。

防音の原理

防音には様々なやり方がありますが、原理としてはほぼ同じです。簡単に言えば、魔法瓶のような構造をつくることです。

魔法瓶は、内側の容器と外側の容器に空気層をつくり、空気によって熱を遮断して、内側に入れた液体の熱が出たり入ったりすることを防ぎます。防音も同じ原理で、内側の壁や床と外側の壁や床の間に隙間をつくって、内側の壁の振動を外側の壁に伝えないようにします。

しかし、内側の壁を宙に浮かすわけにはいきませんので、何らかの方法で内側の壁を外側の壁に固定しなければなりません。それをうまくやると音が外に漏れない状態をつくり出すことができます。その時に重要なのは、ドアや窓、換気ダクトなど、どうしても外部とつなげなればならない部分をどう処理するかです。

音というのはどのように回るか計算しきれない要素があって、例えば部屋の外には音が出ていないけれど、離れた寝室の天井から音がなっている、ということもありえます。また、周波数によって音の回り方が異なりますので、出す音の種類によって止まったり漏れたりということもあります。

防音室は防音だけを気にすればよいということではありません。用途によって異なりますが、例えば厳密なオーディオルームをつくるときなどは、室内の音響効果も大切な要素です。音線図をしっかり描き、例えば、平行な壁をつくらない、適切な残響の素材を使う、特定周波数を増幅したり吸音する素材を配置する、などの工夫が必要です。

一方、楽器の練習室などをつくるときは、通常は音響をデッド(残響しない状態)にしますので、大量の吸音材を内側に貼らねばならず、部屋が一回り狭くなりますので、その分余計に全体の面積を確保しなければなりません。

防音室の作り方

部屋の位置による防音

ホームシアター程度の音量であれば、特に防音工事を施さなくても部屋の位置を工夫するだけで、建物の外に音を漏らさないことは可能です。

ひとつは地下につくることです。土は高性能の吸音材ですので地下室というだけで、かなりの防音効果が期待できます。

もうひとつは家の真ん中につくることです。つまり家全体を魔法瓶に例えてしまえば、部屋そのものを魔法瓶構造にする必要がありません。

ただし、2つの方法とも、建物の外には漏れなくても家内部の他の部分には音が漏れますので、ご家族の状況によっては難しいかもしれません。

DIYでつくる

夜遅くまで音を出すことはなく、生ギターの練習くらいの音量であれば、DIYである程度の防音を施すことは可能です。

壁や天井にホームセンターなどで買ってきたウレタンマットなどのやわらかい素材を貼り付けます。窓はふさぐのが理想ですが、もともとペアサッシであればそのままでも大丈夫かもしれません。床にも厚手のカーペットかクッションフロアを敷きます。ドア枠につけるゴム製のクッション材(閉めた時にバタンと音がしないようにするもの)もホームセンターで売っていますので、ドアを閉めた時にドア枠に隙間ができないように貼り付けます。

ただし、あまり狭い部屋で気密性を高めてしまうと、長時間使用する場合に換気の不具合が生じる可能性がありますので注意が必要です。

製品を使う

それほど面積は必要なく、ボーカルやピアノ、フルートなどの練習でしたら、ユニット式の製品を使うのが安価で確実です。

防音性能や面積によって異なりますが、100万円~300万円ほどで設置できます。

YAMAHAなどのいくつかのメーカーで販売していますので、調べてみてください。

造作でつくる

5畳以上の広さで、ある程度以上の防音性能を得たい場合には、造作で防音室をつくる以外ありません。

つくり方は何通りかありますが、いずれにしても防音室をつくったことのある業者に任せることが重要です。防音の技術には勘所があり、経験のない業者では思ったとおりの効果が得られない場合があります。

家づくりを任せたい工務店が防音室の経験がない場合は、経験のある業者を工務店に紹介して、工務店に全体を管理してもらったほうが、滞りなく工事が進みます。

工事費は防音性能や面積によって異なりますが、床の補強費用などを含めれば、数百万円~1千万円の単位でかかります。