様々な特約

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不動産の売買契約では、その取引や物件の事情によって様々な特約が付くことがあります。「特約」とは、主契約と異なる特別な約束をする時に付帯するもので、取引において重要なポイントになります。

以下の例は、不動産取引の中で代表的な特約です。

◆融資利用の特約(ローン特約)

売買契約の後に住宅ローンが借りられないことが判明した場合にも、売買契約を白紙解約できる特約です。

この場合、売買契約時にすでに手付金を支払っていたとしても全額返還されます。融資利用の特約が設定されていない契約を結び、住宅ローンが借りられないことが判明した場合は、すでに支払った手付金を放棄して売買契約を解除しなければならず、さもなければ売主から損害賠償や違約を求められることになります。

まれに住宅ローンの事前審査が通ったからといって、融資利用の特約を付けない場合がありますが、事前審査が通ったとしても、本審査で不承認になる場合がありますので注意が必要です。

融資利用の特約を付ける場合は、「借入先」、「金額」、「融資利用の特約期限」など、特約が適用される場合の条件について「具体的な取り決めをしておきたいのか」、「そうでないのか」を不動産会社にしっかり伝えておきましょう。

例えば、「借入先」は「都市銀行及び地方銀行他」などと広い解釈ができる内容で定められるのが一般的です。しかし、ある特定の銀行から借入ができなければ、その土地を購入するつもりがない方にとっては、具体的に「○○銀行」と記載した方が後のトラブルを防ぐことになります。

◆瑕疵担保責任の特約

民法の定めでは、「買主は瑕疵を『発見した時』から1年間は、売主に対して瑕疵担保責任を請求できる」とされています。

しかし、不動産売買においては、「売主は瑕疵担保責任を負わない」とする特約や、責任を負う期間を(『発見した時』からではなく)「『引渡しの時』から1年間」とするなどの特約を設けるのが一般的です。

なお、売主が宅建業者(不動産業者)である場合、「『引渡しの時』から2年未満」で設定した場合は、買主に不利な特約となるため無効となります。その場合は、民法の原則通り、「買主が瑕疵を『発見した時』から1年間」となります。

契約書の内容をよく読んで、瑕疵担保責任の有無、瑕疵があった場合の責任範囲についてしっかりと理解しておきましょう。

◆建築条件付き土地の特約

建築条件付き土地を購入する場合は、必ず土地売買契約の際に、この特約が定められます。

土地売買契約の中で、「本契約締結後○ヶ月以内に、本物件を敷地とする工事請負契約を売主の指定する業者と締結することを条件とし・・・」という項目が設定されます。これは、たとえ土地売買契約を結んでも、万一、指定の業者との工事請負契約が成立しなかった場合には、土地売買契約自体が白紙解約になるという特約です。

◆買換え特約

買主が所有する不動産を売却し、これで得た資金を売主への支払いにあてる場合に定められます。万一、買主の所有する不動産を売却できなかった場合には、契約を解除できるというのが買換え特約です。

売却できたとしても、売却価格が必要な額に満たなければ、計画が成立しなくなってしまうような場合には、売却価格がいくら以上でなければならないのかなど、特約が適用される場合の条件について、具体的に取り決めをしておくことが重要です。
あいまいな定め方だと解釈が広くなってしまうため注意が必要です。

◆買戻し特約

一定期間が経過した後に、売主が代金と契約の費用を返還することで、不動産を取り戻すことができる特約のことです。

買戻しの期間は、原則10年を超えることができませんが、期間の定めをしなかった時は5年とされます。

買戻し特約は、買主が権利を取得する際にあわせて登記することができ、この登記をしておけば第三者にも対抗できるとされています。担保の一つにもなりますが、実際にこの目的で利用されることは少なく、また一般の売買で定められることもほとんどありません。

◆その他の特約

その他にも、

  • 建物の取り壊し期日、その費用負担を定める特約
  • 売主の退去時期を定める特約
  • 占有している賃借人がいる場合に、期日までに売主が退去させることを定める特約
  • 登記名義人が被相続人になっている場合に、期日までに登記名義を変更することを定める特約

など、その取引ごとに特約が定められることがあります。

これらの特約に関する取り決めは、売買の仲介をする不動産会社がその取引の事情に応じて条文を作成し、売主・買主双方に提案するのが一般的です。

お互いに誤った認識が生じないように、売主・買主の間で具体的な内容の取り決めをしておくことが重要です。

(矢野)
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